卒論の講評

酒井かえで
社会的自我の発達によるキャリア像変化 -海外滞在中の手記をもちいたコレスポンデンス分析をもとに

3イギリスでの留学、オランダでの短期滞在、ヨーロッパでのバックパック旅行時の日記3,163行のログを解析し、異環境に自らを置くことにより生じた対他的な自己(Me)の変容が対自的な自己(I)の変容につながっていたことを実証した力作です。

神保充
スクールカーストとボンド理論の関連性

「教師への愛着が高いほどスクールカーストの進行が弱い」というソーシャルボンド理論を支持する結果も得られはしたが、クラス・学校・友人・部活といった横のつながりの強弱はカーストとは無相関でした。この結果を基に異なった枠組みが考察されています。

高橋理
シングル男性の男性意識のありかた ―ジェンダーと家族意識の視点から―

男性性と出生家族モデルおよびジェンダー意識の関連を探ったところ、直系家族とジェンダー意識が優越志向と、近代家族が所有志向と、合意制家族とジェンダー意識が権力志向と関連していることを実証し、理論的・実証的に価値の高い成果を上げました。

清水陽介
市町村間における地震・津波防災対応力の比較―和歌山県の場合―

国連の防災対策評価尺度を和歌山県内の全30自治体に送付し20市町村から返送された結果をもとに、防災対策の充実度が想定震度と津波災害への懸念と関連することを実証しました。4月からは地元自治体職員としてこの結果を活かして欲しいと思います。

松田燿
京都市内の元学区における出生率とソーシャル・キャピタルの関係についてについての研究――

京都市内全222元学区の2010年国勢調査に基づく出生率が、2014年の京都市自治推進室による元学区のソーシャル・キャピタルに関する社会調査結果から得られた「子育てのしやすさ」指標と正の相関関係があるという、政策的に貴重な発見をしました。