T.はじめに
医療ソーシャルワーカーは専門職の総合体である病院という環境のもとにあって、後発の専門職として奮闘している。疾病により人は心理的・社会的に不安に陥ったり問題を抱えたりするが、その相談に応じて安心して治療・療養できるよう援助するのが医療ソーシャルワーカーの根本的役割である。核家族、高齢化、景気の低迷、医療費の個人負担増、脳死、臓器移植、などの今日的な社会問題により、また疾病構造の変化により、医療ソーシャルワーカーの必要性は日々高まっている。
ところが、医療ソーシャルワーカーをとりまく環境というのは容易なものではない。離職率が比較的高いのはそのことを表している。仕事に対する「しんどさ」を日々感じ、仕事に幻滅して辞めていく医療ソーシャルワーカーは多い。しかし、中には「しんどさ」を感じつつも長年働き続けているソーシャルワーカーも一方にはいる。この違いはどこから来るのか。
この論文では医療ソーシャルワーカーをとりまく環境の中の、特にストレスに焦点を当て、バーンナウトを起こす要因、またどういったことが減少要因となっているのかを明らかにしたい。