W.方法

インタビューの背景

今回の調査は医療ソーシャルワーカーに対する2回の同席インタビュー(MSW1 MSW2)と1回の単独インタビュー(MSW3)の、3回のインタビューという形で行った。同席インタビューについては修士論文を作成する大学院生の行うインタビューについて、データを卒業論文に使用する許可を医療ソーシャルワーカーから得た上で行った。

なお、MSW1は複数の医療ソーシャルワーカーを擁する公立病院、MSW2は単独で業務を行っている公立病院、MSW3は複数の医療ソーシャルワーカーを擁する民間病院に属している。インタビューを実施したのはMSW1は8月26日、MSW2は8月27日、MSW3は12月6日である。

 

質問項目

インタビューはセミ・オープン形式で行われた。筆者が同席した大学院生のインタビューの質問項目は以下の通りである。

  1. 今後、MSWの専門職としての仕事や立場は、どのように展開していけばよいとお考えですか?(一般的に、ご自分にとって)
  2. 普段のお仕事の中で、MSWとしての仕事や能力が十分にはたせているところは、どんなところか教えて下さい。(自分自身、自分と周囲・組織の関係)
  3. それを支えるものとしてどんなものがありますか?(自分自身、自分と周囲・組織との関係)
  4. MSWとしての仕事や能力が十分はたせないことがありますか?そのことについて詳しく教えて下さい。(社会資源を活用する際において、組織との関係において、援助を行っている過程において)
  5. その要因にはどんなものがあるか教えて下さい。
  6. MSWとしての仕事や能力を十分に発揮するために、ご自分から何か行動を起こされることがあれば教えて下さい。(フォーマル、インフォーマルな形で)
  7. MSWとしての仕事や能力が十分はたせないという以外で、お仕事をされる上でしんどいと思われることはありますか?それについてお聞かせ下さい。

 

筆者が独自に行ったインタビューも同じセミ・オープン形式で行った。質問項目は以下の通りである。

  1. MSWとして仕事をしているその環境の中で、ストレスと感じることは何か。
  2. ソーシャルワークそのものの性質にもストレスを感じているか。
  3. MSW個人の性格がストレスに関与するか。
  4. 仕事をしていてよかったと思うことは何か。

 さらに、インタビューの内容は、記録を確実にするために、被験者の了解を得、テープレコーダーに録音した。

 

分析方法

面接記録はすべてテープに録音した。そこから逐語録をつくり、コーパスとして用いた。各MSWのコーパスはセンテンスごとにナンバリングされ、さらに数センテンスごとにまとまりのあるもの(トピック)をひとつのログとして、ログごとにナンバリングされた。

次にデータをコード化した。まず1次コードとして、コーパスの主要なセンテンスをキーワード、もしくは簡潔な文章でコード化した。この時にラインマーカーを使用し、主要部位を明確にすることに留意した。2次コードの段階では1次コードで不必要なコードを削除、もしくはコード同士をまとめていく作業を行った。3次コードはさらにまとめられ、一般化されてカードに書き込まれた。そこで4次コードとしてKJ法をもちいて3次コードのカードのグループ分けを行い、カテゴリー化し、キーワードを抽出し、最終的にストレッサーと対処資源を明らかにした。