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.結果この章では各MSWのインタビュー全体の要約を行い、それに続いて各MSWの発言から得られたストレッサーと対処資源に関するキーワードを提示する。
インタビューの要約
MSW1
現代の医療は専門分化が進んで、それぞれの専門が全人的な医療を行えなくなっている。理想的な医療は各専門職による患者を中心としたチーム医療である。
(58)そういうことで、まあ、あの、最近ね、医療の現場というのは、どんどん医学的に進歩してますよね。
(60)でも、あの、そうすることによって、専門分化どんどんしておりますので、かえって人間輪切りになっちゃ
って、その部分しか見ない。
(55)そして、病院に来られるまでは、あるいは来られてから以降も、社会人であり、生活者でもありますので、
その人の、あの、医療をやっていこうとしたら、生活の部分を切り離してとか、社会的な要素を切り離して、
医療って、パーフェクトにやれないですよね。
(56)患者さんを中心に据えて、各専門職があの、それぞれの専門を発揮しながら、あの、疾病の治癒とか、治療
に向けて、あの、関わっていく、チーム医療のメンバーであると。
MSWの役割は医療に対する総合的視点によって先進医療の弱点を補完すること。院内・院外での調整役であること、受診・受療援助を行うこと、社会復帰援助、危機介入、ソーシャルアクションによって新たに資源を作り出すこと、既にある資源の不備を補うこと、スタッフに対する啓蒙活動である。
(64)だから、医学の進歩と共に、やっぱり、人間を丸ごと見れないという、弱さみたいなものが、私はあるんじ
ゃないかと思うんですよね。
(65)それを、あの、人間を人間として、やっぱりこう、見ていくんだというね、視点として、そのチームに加わ
ったら、やっぱり修正とか、していけますよね。
(155)ほぼ、このスタッフ間の調整っていうのか、コーディネートをする。
(171)チーム医療のコーディネートというのか、それができるのは、まあ、おこがましい言い方かも知れません
けど、医療ソーシャルワーカーじゃないかなあと思っていますし、私はそういうふうにしていってますね。
(286)患者の代弁なんですよ。
(287)そこで調整取るんですけどね。
(307)で、病院に怒れないことを、やっぱり一番怒りやすいとこに怒ってきます。
(387)なかなかね、病院に結びつかない子が、あの、保育所の先生から頼むっていわれて、行くなり、白衣の先生
じゃだめで、私をクッションにして、つながりができて、病院に来るようになったんです。
(144)退院という事態に直面したときに、今までの生活を、果たして続けられるかどうかといったら、そうじゃな
くなってしまう方が多いんですよね、高齢者でも、障害者でも、長期の慢性疾患でもそうです、そのような方
を、いかに社会復帰させるのか。
(270)まあ、危機ですよね、危機に直面したときに、あの、相談室に来るというのか。
(544)その時はやっぱり、アクションというのか、ソーシャル・アクションというのか、制度として現在、充実し
なくっても、制度外はみ出たところで、こういう風なケースがあるんや、っていうことをね、私は、分かって
もらう必要があるんじゃないかと常に思っているんです。
(568)だから、制度ってそんなものじゃないですか?あの、歴史があって初めて今があるんですものね。
(570)私ら自身も、それの担い手であるということも、忘れてはならないんじゃないかなあと(笑)思いますが。
(316)ここ、8年来は、看護婦さんを、新人のね、あの、研修を一ヶ月くらいずーっと受けるんです、いろんなね、
そこに、1時間半ほど、MSWとしてね、時間いただいてね。
(368)で、Dr.も、去年ぐらいから、あの、入って4月の、新人の、まあ、Ns.ほどきちっとしませんけど、15
分くらい、ざーっと全科の新人の先生方に、あの、各業務の案内があって、そこに一度関わって。
しかし、現時点でのMSWは業務を行う上でのストレスが高い。
(571)なんか、一生懸命やっても、不十分なときもあります。
(579)だから、あの、MSWとして、あの、歯がゆさを感じることいっぱいありますよ、まだまだね。
(584)しんどい、しんどいな、と思うことは毎日なんですよ。
(657)だから、そこの所をサポートしていくために、我々自身だってストレスもろに、受けるに決まってますよね。
それを補っているのが存在意義を確認できる体験であったり、人間関係であったり、MSWの個人的な性格であったりする。
(272)だから、あの、喜びは、喜びの時は、凄く良かったなぁと、思いますし…個人的にはそういうふうな、この
仕事でなくっちゃ、Ns.もそうですけどね、味わえないような、患者さんと共に、の、喜びというもののね、
充足感みたいなものがあります。
(247)で、お手紙いただいて、最初の、出会い、あったからこそ、今こういうふうに社会復帰できておりますと、
あの時の、あの、温かい言葉、っていうふうに書いてあるんです(笑)。
(248)そんな時にね、あの、よかったなあと思いますね。
(526)関係よくしてますと、原則は退院してからの制度なんやけれど、先に行って、病院で面接しましょうか?っ
て言って、とりあえずは、退院の時に、コーディネートする人が、私が家に行っとくことにします、と、後、
週に何回か決めますね、とか言って、当面のことは解決はかれるんです。
(633)今言ったように、のんき坊主で、割にそこがね、悪いところでもあり、いいとこでもあるかなあと思って。
(634)だから、切り替えが早いというのか、病院をぽっと一歩出たら、もう仕事のことは頭から外すことにしてる
んです。
(640)口ではやめたいなあとは言いますけど、今はまだ、そこまで、そういうふうに追いつめられたことはないで
すね。
MSWとして必要なものは、専門的な知識・技術、人間性、そしてMSWとしての理念である。
(85)やっぱり、いろんな事を、消化しながら、で、これは違って、本来的にはこうなんだっていうことを、ひとつ、
頑固なまでに、しっかりと持っていないと、押し流されますもんね。
(301)やっぱり、医療の中で、どうすることが一番正しいのかということを、やっぱり外してはだめですよね、ソ
ーシャルワーカーとしてね、外してはいけないことがありますので、たまにはDr.に、言わないといけない
こともありますよね。
(608)それに、私たちの仕事って言いますのは、専門的な知識も、どんどん加えていかないといけませんけれど、
やっぱり、プラスα、人間としてね、充実していきたいじゃないですか。
(614)技術確かでも、それだけを患者さん、求めているわけじゃないと思うんです。
(615)プラスα、人間としての、なんというかな、魅力みたいなもの(笑)いろんなものが、何かなんか必ず、や
っぱり…うまく言えませんけどね。
MSW2
医療を取り巻く環境とともに、MSWの業務は変化していく。現在の情勢はよりMSWを必要としている。
(20)広く展開できるとかね、人数が増えるというのとは関係なく、ま、少なくとも世の中の流れでいうと、インフォ
ームド・コンセントであるとか、人権重視しなくてはいけないとかね、医療の流れの中でね、結構患者さん本
位の医療をしようという大きなうねりはあるのでね。
(21)そういう中ではワーカーとして果たせる役割はあるから、そういうものが院内でアピール手段としてあの…どう
いう方法があるかという視点でね、やっとまあ、多少はワーカーとして発言できる部分があるかなあと思うん
ですけども。
(34)ま、あの、経済効率の側面から変わってきているし、それからまあその、なんていうのか、患者さんの捉え方と
いうか、患者さんの立場を、以前のまあいわば、医療のヒエラルキーの中で捉えられていたような、そういう視
点じゃない、こう、患者さん本位の、しかもなんというか、本来の患者さん達の権利って言うことが、すごくア
ピールされる世の中になってきているから、そういう側面からの、あの…医療の変化っていうのはあるんでね、
その中でまあ、ワーカーとしてできることがなんかあるので、それをまあ、上手く捉えればね。
(143)だから、まず、疾病環境が、病院として、病院が関わるその、疾病構造がまず、変わってきたし、で、構造変
わってきた上に、病気そのものも治療法がいろいろ変わってきたから、患者さんのその、治療の方針も変わっ
てくるから。
(147)そういう中ではね、すごくやっぱり、病棟のスタッフはソーシャルワーカーの役割っていうのは言葉では上手
く説明できないにしろね、あのお、そういう在宅療養が支えられる環境を作らないことには、いくらその機械が
あっても帰れないっていうことは、体験的に判っているのよね、やっぱりね。
(151)で、それで、そういういことから、すごく、ワーカー、ワーカーとして関わる患者さんの数もそういう在宅療
養に向けて、やっぱりすごく増えてきた、と思いますね。
(152)結核病棟が多い時代はね、結核の患者さんの社会的な問題っていうのはすごくその、どういうのかな、例えば、
元々から中高年で単身でらっしゃるとか、あるいは経済基盤が脆弱な生活してらっしゃるとか、そういうあの、
ある程度はこう、範疇はこう、決まるようなね、患者さんの問題が多かったけれど。
(153)そういう在宅療養で、その酸素なんかを持って帰るときに出てくる社会的な問題っていうのはね、あんまりそ
の元々の患者さんの生活環境、生活環境というか、まあ、その患者さんが持っているあの…いろんな生活背景が、
最初からそう、分類できない、こう、累計的に当てはめられない?どんな方にでもまあ、問題は起こるっていう
んですかね。
(158)そんな意味ではね、あの、ソーシャルワーカーの仕事も、なんかこう、昔のイメージやとこう、やっぱり経済
的に貧しい人が相談に行くんだとか、あの、そういう親族関係があんまりなくて、孤独な状況に置かれている人
が相談に行くんやとか、いうようなレベルから、どんな社会生活送ってた方でも、それ相応にその、患者さんに、
大きな病気か出現して、それが長期に渡って療養せんといかん状況が出て来るとね、同じように皆さん問題抱え
てくるんやっていう認識は、ある、と思いますね。
(159)うん、それがやっぱ病院の中の医療の環境も変わってきたし、社会的にも、やっぱり医療の進歩とか、技術の
進歩で、治療方法がかわってきたからやと思うんですけどね。
しかしMSWの新たな展開となると公立病院と民間病院とでは違いがあり、民間はよりフレキシブルなのに対し、公立は行政の枠に固まっている。
(11)あのお、一般の、まあ例えば地域に根ざした病院であるとか、あるいは民間病院で、結構その、経営される側の
考えと、それからワーカーのその、今後やっていきたい業務の幅とか、そういうことの、こちら側の働きかけと
がうまく一致すれば民間病院ってのは結構いくらでも変化できる可能性があるのと。
(13)民間病院のワーカーさんっていうのは、そういうところがすごくその、柔軟に今後の動きを考えていけると思う
んだけれども、公的な病院というのは、ちょっとやっぱり性格が違うんですよね。
(14)ここの病院は、もう、G県の病院なので、あのお、一ワーカーがどうとか、あるいは、病院長がこういう病院展
開したいとかいうような、そういうレベルでの解決というか、決済が取れる業務と、やっぱりG県としての、行
政の枠の中なんでね、公立病院っていうのはすごく柔軟性がなくって、こうワーカーの側から新しい発想で、こ
ういう業務をやりたいとか、あるいはこういうことも病院として手を広げたらいいんじゃないがとかいうことは、
簡単には通らないんですよね。
公立であるこの病院内では、組織内での連携・個別相談ではワーカーとしての能力を発揮できるが、地域との連携は行政の方針上できないし、人員の関係でPRもしにくい。
(24)だから看護の部門でもそうだし、医師の部門でも、要はその、訪問診療とか、訪問看護とかっていうようなやり
方を病院が展開するっていう、全然計画はないので、従ってワーカーとしても、そういう地域に出ていくってい
う動きに関しては、特にその、全然、必要を認めてもらえてないっていうかね。
(68)そういう意味では個別相談として患者さんと関わっている中で、ソーシャルワーカーとして対応する、患者さん
との関係の作り方とか、それから必要な、患者さんの状況に応じた社会資源をあの…使うとかね、そういうこと
に関しては、ある一定の年、経験を積み重ねてくると、それなりにまあ、習熟してくるというか、上手くなって
くる部分もあるし。
(69)それからもちろん患者さんの援助をする上では当然こういう組織の中にいてると、病棟のスタッフなんかと十分
情報交換したりとか、意見交換した上で動かないといけない部分がありますよねえ、そういうところのあの、チ
ームワークっていうか組織の中での連携の仕方とか、そういうことはね、ある程度そこの組織をみきわめられて、
どういう動きをワーカーとしてするのが一番有効なのかというのが判ってくると、動きやすくなってくるから、
そういうところでは、自分の能力を生かせたりとか、あるいは、まわりが色んな形で助けてくれるっていうか、
協力してくれるところ、逆に、よりこう、能力が発揮しやすいようにしてくれるっていうかね、そういうことは
お互いにありますよね、その、他職種とのあいだではねえ。
(82)あの、入院のベッド数との絡みで考えても、とてももう、それはでききれてないので、十分にソーシャルワーカ
ーのこういう機能と、相談室があるということと、そこにその、専門職員がいることが患者さんに十分はこう、
つたわっていないんですよね。
(94)ただ、あんまりわっとご相談が増えても、逆にこちらが対応しきれないっていうこともあってね(笑)、それも
あるから、あんまり積極的にこう、PRできてない、そういう状況なんですよねえ。
MSWとしてのストレスはキリがないが、ストレスの中にはソーシャルワーカーとして拠って立つ基盤も含まれている。
(230)そうですね…うん、まあ、ストレスと思うことってあげたらキリがないけどねえ。
(232)で、そういう怒りっていうのはソーシャルワーカーとして何が大事で、何がその患者さんにとって、本来保障
されるべきことが十分に保障されていないとか、そういうことで感じる怒りと思うから、そういう怒りがね、な
くなっちゃうとね、ソーシャルワーカーとしてのその、何ていうか、本来のその立っている立場がね、結局何と
なくこう、曖昧になっていくような気がするんですよ、私の。
(237)だから、そういうことで考えると、怒りは怒りで、すごく、上手くいってない事っていうのは、やっぱりスト
レスに感じる、こちらもストレスに感じるんやし、当然患者さんもストレスに感じてらっしゃると思うけれども、
ストレスの源でもあるけれども、活動の源でもあるのかなっていう、そんな気もするんです。
MSW3
MSWの働く場としての病院は医療専門職の固まりであり、また福祉相談を目的とした場ではないという性質を持つ。
(25)あの、病院というのはですね、患者さんを治療するに当たってはいろんな専門職の方が協力して、あの、治療
に当たってますね。
(30)で、老人ホームで相談をしているときに、これは福祉事務所も同じかと思うんですが、そこにご来院されるク
ライエントの方は、まさに福祉の相談員の方への、福祉の相談を目的としてご来院されますが、病院の場合は、
病院にご来院される患者さんは、一次的には疾患の治療を目的にして来られますので、少なくとも一次的には
福祉の相談というものには無関係。
また、急性期の総合病院であることで、病院の急性期化と医療の高度化・多様化、患者層の多様化が同時進行で進んでいる。
(43)ここの病院で言いますとね、急性期の総合病院ということで、ますます、病院の急性期化、多様化、と、それ
に伴って当院をご受診なさる患者さんの層の多様性・複雑性という問題は同時進行で進んでおりまして、いわ
ゆる、他面的・複合的問題を持った患者の援助を、急性期病棟特有の、短期間の入院期間・治療期間で解決し
ていくことを、医療者側からも経営者側からも患者側からも、また地域の機関からも求められてくるというの
が、ストレスという風に感じています。
以上のような状況の中でMSWであることは非常に苦しい。
(17)あの、いろんなストレッサーが、現実にはあります。
(100)苦労とか、つらい思いというのは、それはこの職種だけでなくって、あの、どの職種でもありますし、で、
個人の受け止め方も影響すると思うんですけれど、この、医療ソーシャルワーカーをしたがための、言われな
きつらさというか、そういうものも経験してきましたんで…。
(158)ああ、ストレスはね、思い出したらキリがないほどストレスに感じていることはあるんですけども…。
しかし、この病院内でも、世の中の流れでも、MSWの存在を認めていくような雰囲気があり、これからに期待できる。
(199)ですから、いま、よく言われてますのはね、色んな方によく言われるのは、「先見の明があった」というよ
うに言われています。
(201)だから、これからの仕事だというふうに言われてるので、雰囲気的にもそういうふうな気がします。
(203)いま、この法人にはもう10数名のMSWがいて、医療ソーシャルワーカーという名前で、ソーシャルワーカ
ーのIさんというふうに全館放送でも呼びますし、何かあったら「ソーシャルワーカー呼べ」ってゆうふうに
お医者さんも言ってはるので。
(204)そういった意味では、病院の中での雰囲気も含めて、これからの職種だと思っています。
ストレスに関する概念
MSW1
・医療行政の弊害
医療機関は行政によって縦割りに機能・役割が区分されている。しかし、そのことを医療を受ける側が必ずしも認識しているとは限らない。行政による機関の役割と、患者の思惑の板挟みとなってしまうのがMSWである。
(296)あの、ここは市の病院でしょ?だから、市民病院として、市民が、市民病院なんで、貧しい人、お金のない人を
受け取るのは当然だし、困った人も入院させてもらうのが当然と思ってますよね。
(297)ところが、病院としての機能は、高度医療をやっていく、と、大学病院を次ぐ、という機能が、きちっと決まっ
てますのでね。
(298)その、あの、思惑がかなり、医療を受ける側と医療をする側の思惑がずれるんですね。
(299)で、この真ん中で、あの、サンドイッチになるのが、私たち。
(691)だからね、病院のその、輪切りにして、病院の機能度も、あの、国から押しつけられた機能ですよね、その機能
から、はみ出した患者さんを、やっぱり受け止めて、その人の全人的な立場から、あの、いいように解決はから
なあかんわけでしょ?そこがすごく、ストレスあるとこですよね、そして、社会的にもそうですからね。
・社会資源の不足
長期入院を避け、在宅での療養が重視される現状では、患者の在宅を支える人的資源の不足、制度上の不備から、満足な援助ができないことに悩まされる。
(540)障害手帳の4級レベルでは、自宅に電話を付けることができないんですよね、家庭の電話ね、福祉電話を付けるこ
とが出来ない制度になってるんですけど。
(543)そういうような状態の人をね、お家に帰すときに、今言ったように、電話は必要なのに、福祉から電話を付けて
貰えないし、経済的には生保だったんですよ。
(547)ですけどもね、いっこも分かってくれはらへんから。
(548)制度のそんなんあきません、書いてありますやろ!とか言って。
(522)資源も、やっぱり、同じ行政、B市という行政の中ででも、限界がありまして。
(571)なんか、一生懸命やっても、不十分なときもあります、資源がなくって…で、ニーズと合わないときがあります。
(576)もうちょっと、デンマークとか、ヨーロッパの、北欧なみの、あの、人的なサポートいうのか、援助があればね、
帰せるんだけどなあ、という時にね、でもね、やっぱり、人の気持ちですから、こっちから見えても、それを無
理矢理にはね、病院とか、入院施設に、っていうことはできない。
(579)だから、あの、MSWとして、あの、歯がゆさを感じることいっぱいありますよ、まだまだね。
(676)そして、第一、介護者がいないから帰らないということになったら、施設、すぐに入れますか。
(677)年単位なんですよ、老人保健、老人保健施設じゃないわ、特養でも。
(681)そんな、第一線の病院から、もう退院やねんけど、まだいろいろリスクがあって、いうような方が行けるんじゃ
ないんです。
(682)そしたら、ここから退院、っていうような方が、行くところがないんです。
・情緒的ストレス
MSWの援助はクライエントの死亡という形で終結することがあり、これがMSWにとって情緒的なストレスとなる。
(487)それと、病院の出会いで、亡くなる方も多いんです。
(488)去年の今頃、あの方もあの方もおられたのに、って、そういうような出会いも多いんですけどね。
(490)そんなことで、ストレスもいっぱいやけど、たーまにそういう、ぽつぽつと、嬉しいことがあるもので。
・資格
国の規定がないことは業務上、様々な困難を作り出している。病院が専門職の総合体であるという性格上、資格のないMSWの立場はかなり弱い。それは院内での発言力にも現れ、位置づけにも表れる。また、資格がないことで、それぞれの病院によって組織内の位置づけ、業務内容がまちまちになっており、それが全体から見た専門性のあいまいさにも繋がっている。この病院ではMSWの仕事が医療スタッフにはかなり理解されており、またカルテ開示のために業務量が増えている。患者に充分な対応をするために自己犠牲を払っていると感じたり、休憩が取れなかったり、なかなか定時に帰れなかったりするにもかかわらず、MSWの数が増えない。それも国家資格のないことがネックとなっているようである。
(39)で、あの、おっしゃってるように、国の資格というのが与えられてませんから、すべて、院内における、位置づけ
も、かなりな、何をするにしても、病院は専門職の総合体みたいなものですので、やはり、きちっとした資格がな
いということは、しんどさがついてまわりますよね。
(40)そんな中で、あの、まあ、まず、病院の機構としてのね、機構の中での組織的な位置づけ?それがなかなかね、一
般的に、医療ソーシャルワーカーって言ったら、まああの、あるところは事務局に位置づけられてたり、まあ、あ
るところは、看護局に位置づけられてたり、局制になってるかどうかわかりませんけどもね、まあ、あの、副院長
の直属とか、ホントに、組織体あの、全国的にバラバラじゃないかなあと思うんですよね。
(73)で、ここで言うならば、はじめはそういうふうな形で、医療相談って、何する人かなあとか、例えば、事務的な事
だけしてたらいいのかなあのか、医事課の一端ですのでね、医療費のことだけかなあ、とか、やっぱり個人によっ
てね、看護婦でも個人によって、受け止め方が違いますよね。
(79)ですけど、いきなり、やっぱり病院のニーズもありますし、認識の度合いもあって、いろんなケースがそれこそ、
紹介されてきますよねえ。
(80)そんな中で、これは違って、これはそうだという取捨選択が難しい。
(205)人数増やして欲しいって言っても、まあ、歴然とこんだけあの、3年でこんなケースがあるんやから、なくても
いいとは言えへんけどね、って、事務局のトップはね、3年目ぐらいの時に。
(206)そんなんやけど、自治体病院見てごらん、他にありますか?って言うてね、で、これ、国からの規定ないですよ
ね、って。
(209)そんな感覚で言われたこともあるんですよ。
(211)資格制度がないために。
(586)というのは、少しずつ、果たす役割というのか、持ち分が、他職種に、あの、理解されていけばいくほど、ケー
スの紹介も増えてきますよね、で、際限なく、あの、やればやるほど、お仕事、増える仕事じゃないですか(笑)
ねえ。
(605)いま、医療情報の公開とか言って、あの、やっぱり、あの、公開といわれれば求められれば公開しないといけな
いような状況になってきてますよね。
(607)だから、カルテにつけてるものですよね、だから、業務量がおっつかないんです。
(587)で、他の職種のように、あの、先ほども、出ましたけれど、人員の配分とか、そのことの規定がちっともないた
めに、そして、他者の比較するにも、みんな悪すぎるんですよ、条件が、ね、ひとりワーカーであったり。
(589)だから、あの、やっぱり、業務量がどんどんどんどん膨れ上がって、それを、十分満足できるように、こなして
いこうと思えば、あの、随分の自己犠牲というのか、あるように思うんですよね、クライエント関係とか。
(599)それがもう、目白押しに、朝ミーティングしている間も、電話がかかったり、患者さんががらっと開けて入って
きて、あの、あの、ほんとにね、昼のご飯を食べるのが2時過ぎになったり、いろいろ、あるんですよ(笑)そ
れがずーっと延長して、定時に引き上げられない。
・医療ヒエラルキー
日本の医療機関には医師を頂点とし患者家族を底辺とした伝統的なヒエラルキーが存在している。近年では患者を中心とした円形が理想の医療であるという考え方があるが、依然としてMSWが患者中心に考えれば考えるほど、スタッフの無理解にあう現実が存在している。
(275)クライエントを中心に考えれば考えるほど、こうして欲しいなあと、思っても、あの、二の句のつげないような
言葉で拒絶されたり、ドクターでもね、ありますからね…。
(290)だから、それを、調整取りながら、あの…患者サイドの立場で持っていこうと思ったら、自分自身ストレスがか
かるんです、そんな、ものの言い方とか。
(302)あの、ドクターが、医療というのは、ピラミッドで、今も、内部のドクターは、まだ、うち、ピラミッドです。
(303)だんだんこのピラミッドが円形に変わろうとしてきてますけれどね、患者さんを中心に据えてこう、円形にね。
(304)ところが今まではピラミッドで頂点にドクターって、こういうふうにして、パラメディカルがあって、一番下が
患者さん、というような感じだったんですよね。
(305)だから、やっぱりまだ、それをぐいっと形変えていくために、いろんな発言したり、そのためにはあの、ストレ
スがいっぱい、溜まるんです。
・無知・無理解
医療は専門分化が進み、自分の専門のことは判っても他専門に関しては判らないことが多い。知らないことがMSWに対する抵抗となっている。
(173)あの、ね、まだまだ、認めてもらってないのは、そういう部分も、あの、仕事の上で感じることもあります。
(187)でも、最近ね、組織的な位置づけはきちっとできてても、やっぱり、あの…医療技術科の中でも、それぞれの仕
事は分かってますけど、まだ、ここの仕事がつかめない、いうことがあって、だから、組織は変わっても、ふん、
というところがあるんですね。
MSW2
・人数不足
人数不足から派生する問題は多い。この病院は独り職場なので組織内業務に埋没してしまうこと、MSWの役割が多くの患者に認識されて相談件数が増えても対応しきれないため、PR活動を今よりも積極的にできないことがあげられる。MSW一般の話としては、MSWを複数配置している病院であってもやはり人数は少ないので、ひとりのMSWにしか分からない業務が出てきてしまう。そのために休日にも病院から呼出がかかったりといった、日常と業務の線引きができにくい状況を作り出している。また、MSWの社会的な認知の問題も、資格がないことよりはむしろ、ここでは人数の問題として捉えられている。
(70)だから、個別相談に関してはそういうことが結構有効に動けるようになってきているけれども、逆にあの、やっぱ
り、外に向かっての色んな、病院という看板を背負って、そのソーシャルワーカーが外に向かって動く、その、働
きかけっていう面ではね、ここの病院では組織が大きすぎて、その中でやっぱり、少人数のワーカーっていうこと
になると、その辺がやっぱり十分動き切れてないっていう気がしますね。
(71)どうしても組織、機関の中に埋没してしまって、そこの中での業務に追われてしまうから、本来やっぱりワーカー、
一ワーカーっていうよりも、やっぱり一つの病院としての組織が、その地域の中でひとつとして存在しているわけ
だから。
(192)で、ワーカー職というのはほらね、どっちにしたってたくさんいてはる所でも、人数は少ないから、その人にし
か分からない業務っていうのは結構、どこの病院でもあるみたいでね、だから、その方、その人が関わっている
業務で、突発的に何か問題が起これば、その人に聞くしかないっていうことで、休みの日にも拘わらず病院から
電話がかかって来るとか、呼び出しがあるとか、そういうふうなことがあるっておっしゃってる方は結構いるの
ね。
(94)ただ、あんまりわっとご相談が増えても、逆にこちらが対応しきれないっていうこともあってね(笑)、それもある
から、あんまり積極的にこう、PRできてない、そういう状況なんですよねえ。
(82)それと、何ていうのかなあ、やっぱり局限した部分でしかソーシャルワーカーとしては業務してないので、病院全
体の患者さんに対して、まあ、もちろん全てがソーシャルワーク援助を必要とする患者さんではないだろうけども、
あの、まあ、いろんな患者サービスの一環で、深い関わりをしなくても、あの、すごくこう…こう、表面的なレベ
ルであっても、本当は全ての患者さんにソーシャルワークサービス部門の、まあ、少なくともオリエンテーション
なり、それから病院そのものを上手く利用していただくためのこう、簡単なオリエンテーションを、ソーシャルワ
ーカーの立場からね、少なくとも入院する患者さん全員くらいできると、ホントはいいんだけれども、そういうの
ももちろん、数の問題があるのでね。
(30)ですからワーカーが人数として増えないとできない業務って結構あるんですよね、実際にね。
(213)制度がきちっと出来て、例えば国家資格なんかが出来てね、医療ソーシャルワーカーとしての一つのこう、何て
いうか最低ラインの資格が出来たとしても、人数が増えないとそんなに社会的には、みなさんに、一般の社会の
方に判ってもらうっていうのは、むずかしいかなって思うんですけどね。
(214)で、そうするとやっぱ人数ふやさんとあかんのかなっていうことになって、人数増やそうと思ったら、今度は別
の戦略考えないといけないですよね。多分、今までと同じ様な仕事のやり方と、業務の展開だけで良い言うんや
ったら、やっぱりある程度の所まで人数増えないと思うから、そうするとやっぱりねえ、ちょっとねえ、うん…。
・無理解
この病院では医療スタッフは経験上、MSWの役割・必要性を理解している。この病院内の医療相談室は医事課に位置づけられているが、むしろ医事課の職員の無理解が、MSWにとって余計な業務(苦情処理)を増やしている原因となっている。
(107)あまりそのお、中身まで細かく逆に、指示されない、何も言われない、自由に仕事が出来るという良い面も歩け
れども、あの、逆に具体的な中身っていうのはあんまりわかってもらってないんですよね。
(110)そういう意味での役割分担というのと、それも連携すること、やっぱり病棟のスタッフなり、医療関係職種の方
が理解も早いし、よく協力してくれるっていう気がしますけれど、それが無いのでね、自分の上司の、こう、ル
ートで言えば、その、ラインで言えば。
(111)そうすると、なかなか、あの、こういうことを改善して欲しいとか、あるいはこう、雑多な雑用っぽい仕事で、
どこがこう、例えば医事課なんかが、対応して、医事課でもっと上手く説明してくれたら済む業務でも、なんか、
窓口でもめたからワーカー室にふられてくるとかね、それももっと上手く医事係のほうで、医事係の人が勉強し
て、対応してくれれば済む業務でも、こっちに回ってきたりするってこともあるし。
(112)その辺の、あの、こう、まあ、雑用っていうような言い方が良いかどうかは私もちょっと難しい部分があるけど
も、私としてもっと専門領域できちっとこう、枠組みが引けて、個々で私が自分の能力を発揮するためにできる
業務がもっとキッチリと整理できればね、そこに集中して仕事ができるっていう、思うことが、さっきのなんか あ
の、近くの病院の人が患者さん連れてきはって、何か窓口で聞いたけど判らへんからどうのこうのという業務も
(笑)、聞いてみれば別に私がかかわる必要は無いような業務を、下から、医事係が電話かけてきてふってきたん
だけどもね。
(117)そういう、やっぱり、こちらの業務の理解のされ方って言うのが、本当にこの、なんかこの、処理に困ったこと
は何でもあそこに相談すればいいとかね、例えば、その、多少苦情めいた話で、訴えてこられた話の、そのまあ
この、収集が上手くつかなかったら、こちらで、相談室の方で後はよろしく頼むとかね、いう風な事もね、たま
にはね、来るので。
(119)で、そういうのもやっぱりきちっとした仕事の中身をやっぱり判って頂いてないから、結局はまあそこに、こち
らに回ってくるってことも結構あるかな、とは思いますよね。
(120)やっぱ、そういう風なのが、なかなか事務部門の人たちと話して、上手くこちらのその、業務の性格とか、やっ
ぱりうまく言えないことがあってね…。
・ソーシャルワーカーとしての基盤
医療サービスや行政サービスを受ける側に対して、提供する側の姿勢が理不尽と感じられる時、患者が不当な扱いをされていると感じられるとき、ソーシャルワーカーはストレスを感じる。医療現場では人権侵害が未だに存在している。スタッフの、患者に対する態度や考え方が、あってはならないと感じられる時に、ソーシャルワーカーは怒りを感じ、それは確かにストレスとなる。しかし、それはソーシャルワーカーの、ソーシャルワーカーとして依って立つ基盤となるもので、このクライエントへの人権侵害に対する怒りを感じられなくなってはソーシャルワークはあり得ない、という二律背反的な概念である。
(231)でも、結構…ただね、私思うんだけど、ほら、自分が思っていることが上手く、そのお…スタッフとこう、意見
がかみ合わなかったり、外部の行政機関と、こちらが要求したいことが上手く伝わらないというか、受け入れて
貰えなくって、すぐにその、対応して貰えないとか、そういう事っていうのは今も昔もあるし、これからもきっ
とあるんだろうけども、それは、やっぱり基本的に自分の職業とか、考えて、これは絶対その、患者さんがその、
利用できる権利であるし、患者さんの立場として、こういうこと、絶対あってはならないことをスタッフがして
いるとか、思ったりしたときにね、やっぱり、あの…それもストレスだし、ストレスがやっぱり怒りにつながる
しね。
(232)で、そういう怒りっていうのはソーシャルワーカーとして何が大事で、何がその患者さんにとって、本来保障さ
れるべき事が十分保障されていないかとか、そういうことで感じる怒りと思うから、そういう怒りがね、なくな
っちゃうとね、ソーシャルワーカーとしてのその、何ていうか、本来のその立っている立場がね、結局なんとな
くこう、曖昧になっていくような気がするんですよ、私の。
(237)だから、そういうことで考えると、怒りは怒りで、すごく、うまくいっていない事っていうのは、やっぱりスト
レスに感じる、こちらもストレスに感じるんやし、当然患者さんもストレスに感じてらっしゃると思うけども、
ストレスの源でもあるけども、活動の源でもあるのかなっていう、そんな気もするんです。
(244)決して病院だから患者さんがなんかその、不当な扱い受けても良いとは言えないし、お役所の窓口そのものが、
いくら向こうがまぁその、サービス提供する側で、こちらが受け取る側でもね、あの、その人その人の立場を考
えた、対応をこう、しなくて良いという事では全然ないから。
(245)そんなこう、感覚がね、だんだんとこう、院内にいてると、やっぱり病院はこうやからしょうがないのよ、とか
ね、あるいは、お役所っていうところは色んな人が、色んな形で申請に来るんやからある程度は、その、出来る
ことと出来ひんこととはっきりしてるんやから、出来ひんことはもう、最初からこの通り言われてもしょうがな
いのよとかいうふうに、先に思いこむのはやっぱりおかしいと思うし、思いこむことを、ソーシャルワーカーも
一緒にそれで、思いこんでしまったらね、全然その患者さんの立場っていうものはもう、わかんなくなってしま
うと思うから。
・組織とワーカー
この病院は公立であり、行政の枠組みの中でしかソーシャルワークを行うことができない。MSW自身にはソーシャルワークの展開について、病院のありかたについてのビジョンがあっても、行政の枠組みは堅固で、一ワーカーの自由になり得ない。組織の持つ役割期待とMSW自身の持つMSWの役割の間で矛盾が存在している。
(17)ワーカーの業務として私が身近に感じれるのは、例えばその、病院の収益に直接結びつかない業務であるというこ
とで、私たちの業務がなかなか病院の経営側にね、病院の経営にプラスになるという側面で評価されにくいという
部分があるんですけれども。
(14)ここの病院は、もうK県の病院なので、あのお、一ワーカーがどうとか、あるいは病院長がこういう病院展開した
いとかいうような、そういうレベルでの解決というか、決済がとれる業務と、やっぱりK県としての、行政の枠の
中なんでね、公立病院っていうのはすごく柔軟性がなくって、こうしてワーカーの側から新しい発想で、こういう
業務をやりたいとか、あるいはこういうことも病院としても手を広げたらいいんじゃないかということは、簡単に
は通らないんですよね。
(16)まあ、そこで考えられる患者さんとの細々したサービスの中身の質を変えていくとか、中での病院のスタッフとの
連携の中でよりよいサービスができる方法はどうだとか、そういう、すごく狭い範囲のね、ミクロの視野での、な
んというか、業務の展開の仕方に関しては、あのいろんなやり方も工夫の仕方もあるんだろうけれど。
(28)ただね、やっぱり難しいのはその、今のこの病院の中、県下の病院もそうなんですけども、病院が独自に色んな事
業が展開できないのと、それから、病院の中で色んな職種のその定数とか、あるいは必要かということが病院の中
であって、もっと人員をふやして活動した方が良いという認識が一定あっても、じゃ、すぐに人を増やせるかとい
えば、病院だけの判断で人はふえないんでね。
(29)要は予算を出すのはK県というところなんで、K県の病院を管轄している本庁の中に部署があって、そこがまずそ
の、そういうことを認めてくれて、人を増やすための予算が付くかどうかという問題だし、それはもう一つ言えば、
K県全体の予算の問題だから、議会でそういう予算が承認されないと病院の方の動きというのは実際には動かない
という、すごくこう、行政機関の中の病院っていう、すごいいろんなこう、枠組みがあるのでね。
(43)ただ、病院の機構そのものが大きく変わらないとできないワーカー業務も、実際あるかなあとはね…うん。
(53)だからその、病院だけで話し合って、こんなことをしようって決めてても、必ずそれが実現しないっていうことが
よくあることなんでね、そういうのにすごく縛られるんですよね。
(54)なかなか病院全体見ても、ワーカー業務だけでなくってね、病院そのものも、病院としてこういうことして、こん
な風に変えたいとか、こういう風にしたいという、色んな病院の中の改革案っていうのがあってもね、もう何年来
も実現しないことはいっぱいあるから、うんまあ、そういう枠って言うのはありますよね、公的な病院はね。
・個人の要素
熱心すぎて業務に没頭してしまい、仕事と日常とのバランスのとれない人はバーンアウトに陥りやすい。自分の職種に誇りを持ちすぎている人は、社会的な評価とのギャップにストレスを感じることがある。また組織内での肩書きや発言力の無いことに不全感を感じるのもパーソナリティの問題である。
(249)まあ、それを感じて、こう、敏感になって、敏感になりすぎるとすごいストレスたまるんだけどね(笑)でもそ
の辺のバランスですよね、ストレスを感じながら仕事をしながら、かといって日常の個人生活では出来るだけス
トレス無いようにせんとあかんから(笑)、どっかでこう、線を引いて区切っていくことは当然必要やと思うけ
どね。
(250)でも、性格の違いっていっぱいあるからね、ほぉんとに熱心な人はね、もう、あの、心身惜しまず(笑)何か仕
事に没頭してはる人もいてはるね、あの、ほんとにこう、そういう線が引きにくい、引けない人って言うのはい
らっしゃるみたいですね。
(176)そういう意味で世間でね、自分の職業っていうのを十分認識してもらって、それが、あの、なんていうか、社会
的に地位が高いか低いかという問題じゃなくても、ある一定の、まあ、普通の人が聞いて、あ、医療ソーシャル
ワーカーって、あ、きちっとした、立派だとか、立派でないとか、そういうふうなのは別にして、一応きちんと
した仕事してるんだなっていうことがぱっと認識して貰える仕事と、いえばね、医療ソーシャルワーカーですっ
て言った時にはね、かなりその部分では、なかなか、「何してはるの?」とか「それって何です?」っていう部
分がありますよね、現実にはね。
(177)で、ま、そうであっても、別に私は私で仕事してるんだから良いと思う人と、やっぱり社会的にある一定の何と
なく認知が得られないとか、あるいは評価が、あの、すぐにぱっとしてもらえないということにおいて、あの、
やっぱり自己の存在をね、もっとアピールしたいとか、あるいは社会的に自分が認められることを望んでいる人
とか、そういう性格の人って、かなりその部分でなんかこう、不全感がきっとあるんだろうなと思うんですよね。
(202)そういう…ポストのことですごくやっぱり問題を感じている人はきっといるだろうし、外に向かってご自分のや
っぱり職業っていうのか、自分が誇りに思ってらっしゃる方であればあるほどね、やっぱりその、自分が持って
る誇りのあの、持ち方と、それが社会的にそれくらいのレベルで認められてるかっていうことの、ギャップが大
きければ大きいほどストレスになりはるん違うか、という気がしますけど。
(180)そういう意味では、肩書きが欲しいとか、権限が欲しいとか、それをすごく集中して思いこむと、そこはやっぱ
りかなえられない部分ですよね。
(185)で、そういう、やっぱり、組織の中での、自分の権限を取りたいとか、それから、肩書きが欲しいとか、そうい
うことになると、やっぱりそのお、十分に叶えられないっていうふうに思う人が多いかもしれないねえ。
(188)で、ここに一係員として話をするときには、少なくとも上司に自分の意見を言うて、その上司がまあ、それを取
り上げてそういう部門で言ってくれたらまた別だけども、そうでもなければね、そういうやっぱり企画運営に関
する部門は、ポストがないと、そういうことにもっと積極的に関わりたいと思う人にとっては、やっぱりストレ
スなるんかなぁ、こう、達成されない、っていう部分ですよねえ。
MSW3
・組織の役割期待との不一致
入院日数縮小、医療の高度化により多面化・複合化した患者の問題を短期間で解決することをMSWは医療スタッフからも、経営側からも、患者からも、地域からも求められている。結局問題を他機関へ転嫁するだけの不十分なケースが多く、自分の目標とするソーシャルワークができないことがストレスとなっている。また、収入に結びつかないソーシャルワークの仕事が民間病院の営利とは相容れないこともストレスと感じられる。
(45)この病院の患者さんの平均入院期間は、在院日数が、平均しますと一人の患者さん当たり20日間です。
(46)で、将来的にはそれを2週間にしなければいけない。
(47)そうすることによってのみ、あの、急性期の基幹病院としてのステイタスを保つことができると聞いております。
(43)感じますね、性質…そうですね、ここの病院で言いますとね、急性期の総合病院ということで、ますます、病院の
急性期化、提供できる医療の高度化、多様化、と、それに伴って当院をご受診なさる患者さんの層の多様性、複雑
性という問題は同時進行で進んでおりまして、いわゆる、多面的・複合的問題を持った患者の援助を、急性期病棟
特有の、短期間の入院期間・治療期間で解決していくことを、医療者側からも経営者側からも患者側からも、また
地域の機関からも求められてくるというのが、ストレスというふうに感じています。
(52)そういう意味では非常に深刻な問題、で、その問題は場合によれば、老人ホーム的な考えで言えば、何ヶ月も長い
時間を費やして、一緒に考えていく、そういうシビアな問題をごくわずかな期間で解決するように求められますの
で、それが非常に大きな、ワーカーの、ストレスになるような気がします。
(53)で、特に、退院に関する機関の締め付けというのが、毎年毎年厳しくなってきています。
(55)で、そこを埋め合わせるのに本来自分がイメージしている、また、自分が目標としているソーシャルワークができ
ずに、単なる問題を置き換えるだけの、医療機関の、別の医療機関への紹介というような、かたちに終わらざるを
得ないケースも多々あるとか…ということも含めて。
(34)例えばお医者さんというのは、社会的にも十分に認知された職種でもありますし、院内でも非常に高い評価を受け
る職種でありますので…で、当然病院の収入にとっても書かすことのできない職種である、ドクターに比べると一
目瞭然なんですが、医療ソーシャルワーカーというのは、いくらいい相談をして、いくら努力をしても、収入とい
う面では全く病院に貢献することはできませんので、そういう経営的な立場からも、高い評価を受けることが難し
い。
・病院の性格
病院は福祉相談の場ではない。疾患の治療を目的に患者は病院を訪れるのであって、福祉相談に訪れているのではない。
(30)で、老人ホームで相談をしているときに、これは福祉事務所も同じかと思うんですが、そこにご来院されるクライエント
の方は、まさに福祉の相談員の方への、福祉の相談を目的としてご来院されますが、病院の場合は、病院にご来院
される患者さんは、一次的には疾患の治療を目的にしてこられますので、少なくとも、一次的には福祉の相談とい
う物には無関係。
(31)で、あの、それを二次的に補完する意味で福祉の相談があるかと思うんですけど、そういう役割を、病院の中で、
浸透させる作業が非常に難しかった。
・無理解
MSWが職種としてどのようなものなのか、どのような働きができるものなのかということを他専門はわかっていない。それをいちいち自分の言葉で説明する必要があるのは、他の職種が経験しない、MSW独自のストレッサーになっている。
(27)で、その中心がお医者さんであり、看護婦さんであり、また、リハビリの先生方だとか、言語療法の方、あるいは
放射線技師の方、栄養士さんも含めて、色んな職種の方がいる中で、あの、皆さんですね、あの、その専門職のね、
位置づけの高さ低さはあるんですけれども、そういうので、あの、専門職としての位置づけが確立している中で、
医療ソーシャルワーカーだけが、もう、専門資格もなくて、で、あの、職種の内容のあいまいさ、性、を、引きず
っていて、で、そういうようなこともあって、自分の、MSWとしての職種が、どういう職種で、どういうような
援助ができるのかを、いちいち、あの、診療協力職の方々に、自分の言葉で説明しなければならないし、また、患
者さんにも、あの、自分の立場や役割を説明していかなくてはいけない。
(28)で、ということが、それは他の職種の方が経験しない、MSW独自のストレッサーになっていると私は思いますし、
あの、そういうことで非常に大きなストレスを感じています。
・教育制度
MSWとしての専門的な知識・技術が未熟であるほど、個人の性格が援助に反映されやすく、我流になってしまう。現任者の教育、スーパービジョン体制の整備は重要課題である。また、実務にあった学習が大学で履修できてないことが、現場での業務を遂行する上で障害となっているようである。
(84)個人の性格とストレスもそうですし、で、援助の仕方も性格と絶対関連があるように思っています…あの、もっと
きちんとしたソーシャルワークをしていくんでしょうけど、どうしてもやっぱりあの、未熟なワーカーは、個人の
性格が、どうしても感情というかたちで入ってきまして、例えば、亡くなったケース、あのぉ、亡くなられたケー
スを引きずって、で、あの、あいまいな形でそのケースが終結したときに、死亡という形で終結したときに、自分
の中でその問題が解決できずに、花束を買って、あっちの家に届けたりとか、そういうことでなんとかあの、この
問題をですね、解決しようと思うワーカーは、多いように思いますね。
(90)ですからそれがね、やっぱりその、現任者のトレーニングのあり方というのはね、あの、この病院の問題じゃなく
て、日本の医療ソーシャルワーカーの問題としてね、あの、いっぱい課題があるんですけれども、その大きな課題
の一つだと思います。
(135)あと、もう一つは…それが一つの傾向と、もう一つは…その、医療ソーシャルワークをして、こんな風にしたい
というような、思い入れとは別に、それをするための、基本的な勉強が全然できてない。
(136)基本知識が欠如してる。
(139)実務に照らし合わせたね、学習が、大学できちんと履修できてないように思うんです。
(143)それと、大学で学んできた、教科書的なことをね、そのまま何か、こちらでできる、最初結構潔癖性で、そのお、
脳血管障害でおられる方が障害を持って、ADLとかなって、で、痴呆症状も出てきて、で、とても家には帰れ
ないと言うような、状態になったときに結構理想を、学習体系的な理想があって、僕は当然老人ホームとか、あ
の、もちろん家へは、退院の話はするんですけれど、結果的には長期療養型の病院に変わってもらったりとか、
その、病院の、入院期間の問題も意識して、するんですけども、そういうケースは、やはり、何度も何度もケー
スカンファレンスを繰り返して、地域の方も来てもらって、家に結びつけていくんだというようなね、一つの理
想的なイメージがあって、結局そういうふうな現実とのギャップに悩んだりするというような…。
・資格
資格問題は大きい。資格がないことで病院内での、収入を含めた待遇が他専門職よりも恵まれないものになっている。また、国家資格が無いために病院によってMSWの存在の有無、所属、業務内容がまちまちで、MSWを呼称しながら全く違う業務を行って、MSWの専門性をさらに曖昧なものにしている。そのことが、民間病院で奮闘するソーシャルワーカーにとっては腹立たしく感じる。
(37)で、待遇的にも、決して恵まれた待遇だとは思いませんし、特に、病院というのは、資格を有する方と、無資格の
方の、と、給与格差というものがあります。
(38)で、当然、私の場合、あの、4年生大学を卒業してますから、4年生大学を卒業しているという評価はありますが、
一般企業と違って、病院の場合は、医療の資格を持っているかどうかというのが、非常に待遇への影響力がありま
すので、そういう意味では、MSWは、医療専門職という明確な位置づけにはならないので、私自身としては大学
を卒業した事務員と同じような待遇になっています。
(161)あのお、ひとつはやっぱり、ワーカーの方の動き、あのお、当然、病院によってワーカーの位置づけが違うし、
能力が違うからと発言しましたが、あのお、色んな病院の事情がありまして、医療ソーシャルワーカーという呼
称をつけながらね、医療ソーシャルワーカーの実態とはかけ離れた仕事をしている人が、結構いるんです。
(165)そんなんで、結果的に上手く折り合いがつかずにね、窓口業務したりとか、雑用したりとか、そういう話聞くに
つけて、かなり頭に来るんですわ(笑)。
(166)医療ソーシャルワーカーと呼称する人は、やっぱり医療ソーシャルワークを仕事で、しなければいけないという
ように、僕は思っているので、それをもっともっと突き詰めて考えていくとね、今の資格の問題に突き当たって
来るんです。
(174)やっぱり、ある病院にワーカーが必要であって、ある病院にワーカーが不必要というのはおかしくて、やっぱり
どこの病院にもワーカーがね、いて、で、同じ問題を扱っていて、対応していくというのが、やっぱりね、ある
べき姿やと思いますのでね。
(176)そういうことを突きつめていくと、やっぱりその、理想のワーカーの、MSWのね、国家資格を決めるんじゃな
くて、とりあえず今、資格を取ることによって、民間病院の、小さな民間病院でね、自分なりに道を失ってらっ
しゃってね、迷ってらっしゃるワーカーの方々のね、立場とか、待遇をね、少しでも評価して、で、ワーカーを
置いてくれてない病院にね、ワーカーを置かなければいけないようにイニシアティブを与えたりとか、ええ。
(182)で、ワーカーだけがね、ある病院では医局に入ってたり、看護部だったり、事務になってたり、診療部に入って
たり院長直轄であったり、独立部署であったり、訪問看護部であったりと、病院によってね、ワーカーの所属が
違うというのもね…ナンセンスやと思うしね、客観的に見てわかりにくいと思うんで、そういう風なことが結構、
ストレスになている…。
・個人の要因
非常に真面目で、完全を求め、仕事熱心であることはバーンアウトにつながる。また、MSWの業務を理解してもらうためにケースに完全を期そうと、自分で自分にプレッシャーをかけることもある。その他自分の能力・機関の性質を超えたケースなど、割り切らなくてはいけないことを割り切ることができなかったり、職種に対する高すぎるプライド、医療ソーシャルワークに対する憧れ・思い違いなどの認識の甘さなども、バーンアウトの要因となる。
(72)あの、そういういことのできない非常に、変な言い方ですが、非常にまじめな方(笑)、本当に(笑)、バーンア
ウトといいますか、そういうような症状に陥ってしまう可能性がありますので、あの…いわゆるその、エネルギー
を放出するわけですから、新たなエネルギー吸収のしかたみたいなものも、やっぱり、ワーカーそのものが日常の
中で身につけておかなければならないかなあとかは、思いますけど。
(76)ワーカーのことを、ここの病院で医療ソーシャルワーカーのことを覚えていかれますのでね、で、そういうのは、
自分の持っているケースをきちんと解決するということによってのみ、自分の立場が守られるという意識が強いで
すから、あの、そういう意味では非常にプレッシャーを、自分で自分にプレッシャーをかけてしまうところが、私
の場合はありますね。
(59)で、そのケースに携わる時に、自分の限界を超えた問題、で、それは私自身の能力の問題もありますし、ここの病
院で解決できかねる問題もありますし、そういう問題に遭遇したときに、大きなストレスになりますし、あのお、
割り切っていかなくてはならないんでしょうけども、ま、色んな問題を考えていきますと、やっぱりそのケースが
ずっと残存してしまう、残ってしまう。
(147)あのお、ほんとにつらいことがありましてね、あのお、すごく優秀なワーカーで、僕が非常に信頼していてね、
あの、3ヶ月のおつきあいで辞めた方がいらっしゃるんですけどね、やっぱりその、非常に良くできる方だったん
ですけど、非常にワーカーとしてのプライドが高くて…。
(148)例えば、私のこれは、事務服なんですけども、そのね、事務服で仕事をするということに耐えられない。
(149)ワーカーなんかは、白衣を着て、で、極端に言いますとね、先生と呼ばれるような、それは極端な話ですよ、お
医者さんと対等でなければね、許せないというようなね、方でね、非常に残念でしたよね、あの時。
(128)で、あの、今ここの病院でね、やっぱり6年間に10人から15人以上のMSWと関わってきました。
(129)で、あのお、一つの傾向としてね、もちろん高い部分もあるんですけれども、甘さの部分は、項目の内容とした
らね、一つの部分として、総合病院で医療ソーシャルワークをできるというね、憧れみたいな部分が入ってきた
りとか、それは例えばそのぉ、施設で、その、働くよりも総合病院で働く方が、どことなく華やかというか、イ
メージとして。
(130)あるいは、その、カウンセラーのような感覚で、カウンセリングセラピーのような感覚で…あのお…なんかこう、
カウンセリングというのはね、臨床心理士というのはね、女性なんか憧れるでしょ?
(134)と同じようなね、憧れと同じような感覚で入ってきてる人がいるということと。
(142)そういうことと、それと、一つの項目は、医療ソーシャルワーカーが、こんなにも、地位の低い…もっともっと
高い、お医者さんと同レベルの位置づけで仕事ができてるって、そこまでではなくても、病院のシステムという
か、プログラムの中で、ワーカーというものがすべて組み込まれてて、すべて認知されてて、仕事ができるとい
うふうに思っていらっしゃる方がいらっしゃってて、それと現実とのギャップみたいなところで…あるような気
がするね。
対処資源に関する概念
MSW1
・存在意義を確認できる体験
(215)でも、だんだんと、発言していく中で、まあねえ、啓蒙といったら、元に戻しますけれど、組織の中で、よかっ
たなあと思うのは、ケースによって、チームの中で力を発揮できたとき。
(216)あの、一番スムーズな形で退院とか、社会復帰なさって、よかったね、と、患者さん自身が喜んで、また、他の
スタッフも喜んで、あの、よかったと、言って下さる時ですよね。
(217)それと、個々として、あの、個人として、嬉しい、能力を発揮できたなあと思うと時は、あの、他には目に見え
ないかも知れないですけど、やっぱりクライエントとのなんというのか、信頼関係が樹立出来たときですよね。
(218)あの、ここの相談科がなかったら、私こんなにスムーズに退院できなかったですとか、そういうふうに、言って
頂いたときです。
(247)で、お手紙頂いて、最初の、出会い、あったからこそ、今こういうふうに、社会復帰できておりますと、あの時
の、あの、温かい言葉、っていうふうに書いてあるんです(笑)。
(248)そんな時にね、あの、よかったなあと、思いますね、まあ、あの自己満足かもしれないけどね。
・個人的要因
(632)私には、抑鬱はあんまりないんです。
(633)今言ったように、のんき坊主で、割にそこがね、悪いとこでもあり、いいとこでもあるかなあと思って。
(634)だから、切り替えが早いというのか、病院をぽっと一歩出たら、もう仕事のことは頭から外すことにしているん
です。
(637)で、忙しいけれど、したいこともするようにしていってるんです。
(638)どれもこれもパーフェクトにいこうと思ったら無理じゃないですか(笑)。
(639)時々は、悪妻であり(笑)、時々は開き直り、こんなに忙しいねんから、記録書かれへんわ、いうことで。
(640)口ではやめたいなあとは言いますけど、今はまだ、そこまで、そういうふうに追いつめられたことはないですね
え。
・他機関の人間関係
(526)関係良くしてますと、原則は退院してからの制度なんやけど、先に行って、病院で面接しましょうか?って言っ
て、とりあえずは、退院の時に、コーディネートする人が、私が家に行っとく事にします、と、後、週何回か決
めますね、とか言って、当面のことは解決はかれるんです。
(530)で、この前、そんなになる前に、こんなに困った人を抱え込んでて、高齢でもないし、障害、障害でもないし、
手帳も持ってないし、だけどヘルプのいる方で、困った、ということで、とりあえず相談してみますでしょ?
(531)そしたら関係がうまくいってますとね、調整会議というのやってますので、そこにケースを持っておいで、と言
ってくれるんですよ、そやから、その枠にあてはまらないケースやのに。
(532)で、こんなんこんなんで、困ってるんです、って言って、まず持って行くでしょ、そしたら、みんなやっぱりプ
ロですよ、福祉とか、保健のプロですよ、制度がないから、言うて、見て見ぬふりはできないですよ、こうして、
なんとかしようか!っていうような話になるんです。
MSW2
・医療ソーシャルワーカーの必要性認める流れ
(33)ただ、さっき言ったような、あの、医療をとりまく環境そのものはもうみんなが良くご存じのように、かなり変わ
ってきている。
(34)ま、あの、経済効率の側面から変わってきているし、それからまあその、なんていうか、患者さんの捉え方とい
うか、患者さんの立場を、以前のまあいわば、医療のヒエラルキーの中で捉えられていたような、そういう視点じ
ゃない、こう、患者さん本位の、しかもなんというか、本来の患者さん達の権利って言うことがすごくアピールさ
れる世の中になってきているから、そういう側面からの、あの…医療の変化って言うのはあるんでね、その中でま
あ、ワーカーとして出来ることが何かあるので、それをまあ、上手くとらえればね。
(151)で、それで、そういうことから、すごく、ワーカー、ワーカーとして関わる患者さんの数もそういう在宅療養に
向けて、やっぱりすごく増えてきた、と思いますね。
(158)そんな意味ではね、あの、ソーシャルワーカーの仕事も、なんかこう、昔のイメージやとこう、やっぱり経済的
に貧しい人が相談に行くんだとか、あの、そういう親族関係があんまりなくて、孤独な状況に置かれている人が
相談に行くんやとか、いうようなレベルから、どんな社会生活送ってた方でも、それ相応にその、患者さんに、
大きな病気が出現して、それが長期にわたって療養せんといかん状況が出て来るとね、同じように皆さん問題抱
えてくるんやっていう認識は、ある、と思いますね。
(160)で、そういうとこには、で、やっぱりワーカーの必要性っていうのはだんだん出てくると思うから、あの、需要
はあるんだと思うんですよね。
・医療スタッフの理解
(147)そういう中ではね、すごくやっぱり、病棟のスタッフはソーシャルワーカーの役割っていうのは言葉では上手く
説明出来ないにしろね、あのぉ、そういう在宅療養が支えられる環境作らないことには、いくらその機械があっ
ても帰れないっていうことは、体験的に分かっているのよね、やっぱりね。
(150)そしたらもう、やっぱりソーシャルワーカーに中に入って貰って一緒に考えていって、利用できる色んな制度使
って、お家に帰ることが、その患者さんの治療に直接つながるっていうことがやっぱりその、その辺はすごくス
タッフは理解ありますね。
MSW3
・個人の性格
(67)あの、これは能力の問題とは違うと思うんですけれど、あの、私の以前の同僚、今は別の病院で、同法人関連の老
人病院に変わっているんですけれど、ま、いわゆる、タイムカードを押せば、仕事のことは忘れる性格です。
(70)だからといって、彼女が仕事に熱意がないという訳じゃなくて、あの、いわゆるストレス耐性が強いというのです
かね、あの、そういうような方は非常にうらやましいなと思います。
(71)で、私の場合、ある程度抱え込むんですけどね、自分の限界を超えたら、ぱっと忘れてしまうということがありま
すので、それは救いかなあ、と思いますので。
・評価
(101)それとやっぱりその、…うーん、どんなふうに言ったら良いんでしょうかね?地位は低いんですけど、収入とか、
そういう面は恵まれてないんですけども、ここの病院にいますと、一応、民間の非常に大きな総合病院ですし、
医療ソーシャルワーカーと言いますと、医療ソーシャルワークというと全く何か分からないということと、今度
は全く分からないままに、架空に高く評価される場合とがあるんです。
(102)で、ですから、あの、今の言い方がちょっと難しいんですけど…総合病院の相談室のソーシャルワーカーをして
いるんで、かえって、神秘性というんでしょうかね。
(103)全然知らん職種に対する神秘性というんでしょうかね。
(104)で、そういう意味で、ある一定のステイタスが、ある場合があるというか。
(105)で、後は何よりも家族。
(106)家内とか子どもたちが、そういう援助が…困っている方の援助をしているということで、あの…誇りにはしてい
ると思うんです。
(107)で、自分自身にもそれは誇りになってますので。
(108)そういうことが一つの支えになっているとか。
(195)心情的にはケースが上手くいって、やっぱり、あのお、ドクターとか看護婦とか、患者家族から、大きく評価さ
れたとき、これは率直に言って、一番嬉しいです。
(196)これは誰でもそうだと思うんです。
・将来性
(197)結構、発展途上のものでしょ、ワーカーの職種というのは。
(198)ですから、これからもっと良くなる可能性を秘めてますよね、時代の流れ的にも。
(201)(笑)だから、これからの仕事だというふうに言われているので、雰囲気的にもそういう風な気がします。
(204)そういった意味では、病院の中での雰囲気も含めて、これからの職種だと思っています。
(211)あのお、20年前もこれからの職種と呼ばれてて、一つの枕詞みたいになってしまってるんで、今度こそは本当の
これからの職種にして行かなくてはと言う風に思っているので、そういう意味ではもっともっと大きくて、拡大
できるようなね、職種を選んだのかなというような、結果的に、先に可能性があるのではないかというような、
期待感みたいな物が一つありますよね。
(212)で、待遇も徐々に徐々に、改善されてる面はありますよね。
・アイデンティティ
(151)あの、いろんな、僕自身もね、ソーシャルワーカーとしての、当然プライドはあるし、またそういうプラスのプ
ライドもポジティブになかったらあかんでしょ?
(188)でもね、精神的には僕自身のメンタリティーはMSWにあって。
・人間関係
(113)えーと…まず、個人的な人間関係を取るようにしてきましたし、あの…社会人としてのエチケットやマナーはち
ゃんと守ってきました。
(116)で、あとは、ソーシャルワーカーと一緒に仕事をして下さる方々との人間関係を作っていく作業をしましたし、
で、あの…私たちが、入ってくる社会資源、それから資源の整理という点では、これはおそらく病院の他の職種
よりもワーカーの方が長けていると思いますので、そういう新たな情報を収集して、整理して、その関連の方々
に配っていくような、情報を提供するとか、そういうような、意識は、常にずっと、持ってます。
ストレッサーと対処資源の分類
ストレッサー
環境
無理解
無知・無理解(MSW1) 無理解(MSW2) 無理解(MSW3)無資格
資格(MSW1) 人数不足(MSW2) 資格(MSW3)役割葛藤 組織とワーカー(MSW2) 組織の役割期待との不一致(MSW3)
病院の性質(MSW3)
社会資源の不足(MSW1)
教育制度(MSW3)
医療行政の弊害(MSW1)
ソーシャルワークの性質
情緒的なストレス(MSW1) 医療ヒエラルキー(MSW1) ソーシャルワーカーとしての基盤(MSW2)
個人
パーソナリティ 個人の要因(MSW2) 個人の要因(MSW3)
対処資源
環境
存在意義を確認できる体験
存在意義を確認できる体験(MSW1) 医療スタッフの理解(MSW2) MSWの必要性認める流れ(MSW2) 将来性(MSW3) 評価(MSW3)
人間関係
他機関の人間関係(MSW1) 人間関係(MSW3)個人
パーソナリティ
個人的要因(MSW1) 個人の性格(MSW3)アイデンティティ(MSW3)