【3】評価結果の考察
(1)ビデオ評定についての結果と考察
各実験の評価結果により得られたtテストの結果をここで報告する。
preはセミナー前、postはセミナー後、トータルはTCEx・FAU・RFC・RCTの集計のこととする。
トータル(
TCEx・FAU・RFC・RCT)の結果
|
Mean |
Std Dev |
Minimum |
Maximum |
PRE |
9.8750000 |
1.9849981 |
7.0000000 |
13.0000000 |
POST |
11.5833333 |
2.5693286 |
8.0000000 |
19.0000000 |
(
PREとPOSTの変化)
Maen |
Std error |
t |
| t| |
1.7083333 |
0.3534466 |
4.8333559 |
0.0001 |
TCEx
(治療者の体験として取り入れられたクライエントの経験へのかかわり)
|
Mean |
Std Dev |
Minimum |
Maximum |
PRE |
2.5833333 |
0.7172815 |
2.0000000 |
4.0000000 |
POST |
2.9583333 |
0.8064504 |
2.0000000 |
5.0000000 |
(
PREとPOSTの変化)Mean |
Std error |
t |
| t| |
0.3750000 |
0.1320477 |
2.8398829 |
0.0093 |
FAU
(クライエントを理解するときの焦点の向け方)
|
Mean |
Std Dev |
Minimum |
Maximum |
PRE |
2.0416667 |
0.6902531 |
1.0000000 |
3.0000000 |
POST |
2.6250000 |
0.7696696 |
2.0000000 |
5.0000000 |
(PREとPOSTの変化)
Mean |
Std error |
t |
| t| |
0.5833333 |
0.1583047 |
3.6848763 |
0.0012 |
RFC
(クライエントに対する関心のあり方)
|
Mean |
Std Dev |
Minimum |
Maximum |
PRE |
2.9166667 |
0.5036102 |
2.0000000 |
4.0000000 |
POST |
3.1666667 |
0.7019641 |
2.0000000 |
5.0000000 |
(
PREとPOSTの変化)Mean |
Std error |
t |
| t| |
0.2500000 |
0.1379193 |
1.8126539 |
0.0830 |
FAU
(クライエントとの関係の持ち方)
|
Mean |
Std Dev |
Minimum |
Maximum |
PRE |
2.3333333 |
0.4815434 |
2.0000000 |
3.0000000 |
POST |
2.8333333 |
0.7019641 |
2.0000000 |
4.0000000 |
(PREとPOSTの変化)
Mean |
Std error |
t |
| t| |
0.5000000 |
0.1042572 |
4.7958315 |
0.0001 |
上記の表を参照に、平均値を見ると、
pre(セミナー前)では9.875点。post(セミナー後)が11.58333点であり、その差は1.7083点となり明らかにpost(セミナー後)の点が高くなっていることが分かる。さらに平均値を細かく見ると、
pre-TCExは2.5833点で、post-TCExは2.9583点であり、その差は0.375点。pre-FAUは2.04166点で、post-FAUは2.625点であり、その差は0.583点。
pre-RFCは2.9166点で、post-RCTは3.166点であり、その差は0.25点。
pre-
RCTは2.333点で、post-RCTは2.833点であり、その差は0.5点。また、上記の表より、どの結果をみても
t>|t| という結果となっている。よってそれぞれの尺度(TCEx、FAU、RFC、RCT)のpre(セミナー前)とpost(セミナー後)のデータ間には相関があるということになる。よって、データとして有意性があることが証明された。
つまり、コミュニケーションラボを使ったマイクロカウンセリング方式による援助機能の訓練、その中で共感についての技法がセミナーにより上達したことが証明されたといえる。
ここから、特に差が見られた
FAUとRCTについて記述していく。まず、 FAUは聞き手が話し手のどのような側面に焦点を持っているか、話し手の言葉の内容だけを理解しようとしているか、気持ちにであるか。さらに、気持ちに直面している話し手の姿勢自体に関わろうとしているか、ということであるが、セミナーで、ビデオで自分自身の姿や質問の仕方などを振り返って、学習しやすかったと思われる。RCT
は、聞き手が話し手の世界の独自性を認め自分の感じ方、自分に見える世界と話し手のそれとは違うということを尊重しているかどうかを追求しているものだが、セミナー内でビデオを他の人に見られたり、見せたりして、批評をしてもらい、それを学習した結果、その差が大きくなったと思われる。