「大学4年生の最大の関心事は就職のようである」(加藤、1992)。春先になると毎年、就職活動応援本や、企業、業界のことを詳しく書いた雑誌、書物が書店をにぎわしリクルートスーツを着た学生たちが真剣な面持ちで見入っている。納得のゆく内定取得は、大部分の学生にとって重要なことの一つである。ところで、これまでの学生の就職活動に関する学術的研究では、学生の志望業種や男女差など、学生の就職に対する意識に焦点を当てたものがほとんどである。

しかし、我々は就職活動を通じて学生の意識は刻々と変化し、成長すると考えた。アメリカの職業心理学者D.E.スーパーは、「職業的発達」という概念を「職業生活に入るために万全の準備を整えていく過程」だと述べ、その中でも、もっとも重要なことは「自分自身についての認識を深めつつ」、「自己を確立させていく」過程がその根底になければならないと言う。そして自己と周囲の環境的世界を客観的に評価し、両者をアイデンティファイ(統合)することが就職活動であり(小林、渡辺、1980)、また就職活動を通じて養われると考えた。そこで就職活動をする学生を対象に自己受容度とコンピテンスについて、春季(4)と秋季(11)に同一の質問紙を用いて調