著者名:真仁田昭 論文名:「学校ぎらい」の心理とその背景 雑誌名:児童心理 巻51 号8  ページ:1 〜 10   年:1998 <<<<<<<<<<<<<<500字程度の要約>>>>>>>>>>>>>>>>>  学校嫌いの基本的な特徴を3つにまとめている。その第1として、相手との力関係にき わめて敏感ということである。まず、相手が自分よりも有力で驚異の存在か、それとも無 力で安全な存在か、それを測ろうとする。都内の適応指導教室代表との会合で「登校拒否 」の子供の印象を尋ねたとき「優しい子が多い」ということで共通するが、相手との力関 係に敏感という傾向は、事故防衛的な色彩の濃い「気遣い」がベースで、相手のためにひ とはだ脱ぐという「やさしさ」とは異なるものだろう。  第二の特徴は、慢性化した疲れの重いが深くあることである。「登校拒否」が発生する 前に帰宅した子供が「疲れた」と訴え、「登校拒否」が始まるという例が少なくない。そ の「心づかれ」の背景にあるものが、より質が高く、より量的に多くのことを、より早い 時間で達成することを良しとする教育であろうと思われる。「早く芽を出せ柿の種」とい う態度が、「待つ心」の保持を困難にするが、背景に効率主義があることを忘れてはなら ない。  第三の基本的な心理傾向に「過ぎた気まま指向」が考えられる。学校嫌いの子供達は、 「現実原理」よりも「快楽原理」を選び、長い時間的展望の中で今の自分の生活を方向付 けるよりは、それに伴う苦痛を回避しその瞬間の快感情を求めて振る舞っているようにみ られる。  以上のような傾向を持つ学校嫌いの子供達に対し、相談者は登校のためという意識を捨 て、子供と共に時の経過を忘れるような関わり、つまり「瞬く間体験」を共有するような 接触がそこにあるか、という点検が重要な課題であるとしている。 <<<<<<<<<<<<<<要約者担当者名・要約日>>>>>>>>>>>>>>> 三嶋 陽介   1998.8