<<<<<<<<<<<<<<雑誌掲載論文用カード情報>>>>>>>>>>>>>> 著者名:高士直子 論文名:不登校をどう理解するか -思春期の不登校と自己決定感 雑誌名:現代のエスプリ 号 330 ページ:125〜133    年:1995 <<<<<<<<<<<<<<500字程度の要約>>>>>>>>>>>>>>>>> 登校している中学2年生762名を対象に、生徒たち自身が環境(家族と学校)をどうと らえているのか分析し、不登校傾向との関係を調査した。分析の際、認知パターンを検討 する概念として、デシ(Deci,E.L.)の「自己決定感」をベースに用いて、家族認知項目・ 学校認知項目・潜在的不登校傾向尺度項目を作成した。方法は質問紙を用い、それぞれに 因子分析を行った。結果、家族認知については、次の4因子が抽出された。「父親の保護 的共感」「母親の保護的共感」「父親の支配」「母親の支配」学校認知については5因子が 抽出された。「対人関係における内発的動機づけ」「課題(学業)における内発的動機づけ」 「失敗回避から生じる不安・緊張」「消極的自主性」「被制御感」最後に不登校傾向につい ては「学校嫌い感情」と「体調」の2因子が抽出された。各因子間の因果関係を調べた結 果、2つのことが示された。第一に、不登校を理解する際には自己決定感という概念が一 つの視点にできることが分かった。つまり、「子どもたちが環境(家族と学校)に対して 「自己決定感」を持てていると感じることが大切」(131)であるといえる。第二に、「父 親の支配」から「体調」にパスが示された以外はすべて、家族認知→学校認知→不登校傾 向という関係がみられた。これにより、不登校について考える時、子どもが持っている「家 族認知」も「学校認知」もどちらも重要であり、相互に関わり合っていることを認め、連 携していくことが必要であることが分かる。最後にこの調査で注意しておくべきことは、 あくまでも中学生の主観的認知を測ったもので、客観的な事実とはいえないことだ。「自 己決定感を低める環境だから不登校傾向が高まるのではなく、環境に対して自己決定阻害 感を強く抱く子どもに不登校傾向が高くみられた」(132)ということを認識しておき たい。 <<<<<<<<<<<<<<要約者担当者名・要約日>>>>>>>>>>>>>>> 中嶋靖子 1998.8.15