書籍名:外国人にも住みよい日本をめざして

−外国人の在留に関する行政の現状と課題―

出版社名:総務庁行政監察局

年:平成9年

<要約>

我が国の医療保険制度は健康保険と国民保険の2種類に大別され、どちらも外国人に対し

て日本人同様に適用されるものとしている。なお不法滞在者に関してはどちらも適用され

ない。そこで問題になってくるのは不法滞在者による医療費の未支払い問題である。その

背景として厚生省は「1.不法滞在問題自体の解決を図らない限り、この問題を根本的に解

決するのは難しい。2.新たに制度的な対応を行うことは、かえって不法滞在者を助長する

ことになる恐れもあり適当ではない。3.一方現実問題として治療をうけながら医療費を支

払わず医療機関側にしわよせされる事例がある。」(p172)の3つをあげている。それらの対

策の一つとして厚生省は平成8年度から、緊急性を要する医療を行った場合について外国

人医療費未収金補助制度を実施している。けれどもこれは新たな制度ではなく現状の制度

を活用したもので、あくまで措置的なものとしている。内容としては「救命救急センター

において、重篤な外国人患者の救命医療を行い、無保険者について努力したにもかかわら

ず回収できない未収金(1件50万円をこえるもの)に限って、50万円を超える部分について

現行の基準額に加算して補助する」(p174)としている。また補助率は3分の1(国3分の1、

都道府県3分の1、事業者3分の1)となっている。

 

吉坂 有香 7月5日(日)