結 果
因子分析に先立ち、データの信頼度に悪影響を及ぼすと考えうる以下のようなサンプルをあらかじめ削除することにした。削除の対象としたのは、
である。その結果、10名のサンプルを削除し、残った1651名のサンプルについて分析を行った。
また、尺度としての弁別性を保つため、回答数の偏りが90%以上の項目を削除することにした。項目分析の結果、質問紙U中の1項目および質問紙M中の5項目、計6項目を削除した。質問紙KとCについては、これに該当する項目はなかった。
(1)の結果残った90項目について、主因子法による因子の算出を行った後、バリマックス回転を施した。探索的に、3から10までの因子数で分析を行ったところ、3因子解にて安定した構造が得られた。この結果から、尺度間相関値の低かった項目を削除し、最終的に残った24項目によってCASQ-KGを構成した。各概念とそれに対応する項目については、表1のとおりである。
表 1-1:CASQ-KGの項目一覧表
表 1-2:CASQ-KGの項目一覧表(2)
また、CASQ-KGについて再度因子分析を行ったところ、表2のような結果が得られた。
表 2:CASQ-KGの因子構造表
・第1因子:Q10・Q13・Q14が0.54504〜0.70555の間で因子負荷量を受けており、PsB(悪い出来事における個人度)に関する次元と解釈した。これに対応するPsG(良い出来事における個人度)の項目Q1・Q2・Q4・Q6が、逆に−0.52174〜−0.04072と低い値を示し、関連性が裏づけられた。
・第2因子:Q11が、0.63038の最も高い因子負荷量を受けており、これに対応するPvB(悪い出来事における普遍性)の項目Q8、Q15、Q17、Q21が、−0.26209〜−0.00558の間で低い値を示していることから、PvG(良い出来事における普遍性)に関する次元と解釈した。ただ、Q11と同様に高い値を示すべきQ12とQ16については全く有意とはいえず、また、PmG(良い出来事における永続性)の項目であるQ5とQ24から、それぞれ0.54936・0.61765と高い負荷を受けていた。
・第3因子:Q20・Q23がそれぞれ0.58012・0.40039の因子負荷量を受けており、PmB(悪い出来事における永続性)に関する次元と解釈したが、同じPmBの項目であるQ19とO22については、有意とはいえない数値であった。しかし、PmBに対応するPmG(良い出来事における永続性)の項目Q3、Q5、Q9、Q24を調べたところ、−0.45899〜0.17906の間で低い値を示していたため、関連性は少なからず示唆されたといえる。