<<<<<<<<<<<<<<書籍掲載論文用カード情報>>>>>>>>>>>>>> 著者名:田原範子(一〜三節)・小野尚香(四〜五節) 論文(章のタイトル)名: 第八章 精神医療 書籍名:現代医療の社会学−−日本の現状と課題 書籍編著者(もしくは共著者)名:黒田浩一郎 出版社名:世界思想社 ページ:170  〜 201   年:1995 <<<<<<<<<<<<<<500字程度の要約・要約日>>>>>>>>>>>>>> *引用は「」でくくり、その後にページ数を明記    ある「了解事項」、「当たり前とされること」が侵されるとき、それは治療の対象として扱われる。 既存の理解の枠組みが侵されることに対する危惧の念は、ある行動や状態を精神「疾患」や 精神「障害」として精神医療の対象へと押しやる一つの原動力となりうる。  国家は専門職集団と結びつくことによって、より緻密に病気を管理できるようになる。 臨床場面で専門家は正常と異常とを分節化し、国家はその正当性を保証するのである。(p.187)  国家は医療の枠組みに収まらない形で精神障害者を関与の対象としてきた。そこには二重の 意味がある。一つめは、精神障害者=保護の対象。精神障害者は生活不能者と見なされることで 保護の対象となる。二つめは、精神障害者=社会統制の対象。精神障害者は社会規範の侵犯者と 見なされることで社会統制の対象となる。精神障害者というカテゴリーは、このような 過程を通じて国家関与の独自の対象とし構成されたのである。(p.188)  1950年(昭和25年)「精神衛生法」が制定された。私宅監置は廃止され、都道府県の精神病院 設置を義務づけた。この方は精神障害者の医療と保護、発生予防を目的としたものであったが、 法の運用に当たって強制入院、特に措置入院と私立精神病院の増設が重視された面があり、 現在もその影響は続いている。(p.195)  1965年精神衛生法は改正される。医療を基調とした施策と地域に根ざした精神衛生の方向性が 示された。しかし、病床数は以前よりも増加し、平均在院日数はのび、措置予算はふえ、病床利用率は 100%をこえたままであった。病院収容の傾向はかえって強化されたのである。(p.199)  現在でも、病院収容中心の傾向はあまり変わっておらず、平均在院日数も約550日(1991年度) と長期在院となっている。1993年には社会復帰促進事業推進のために「精神保健法」の一部が 改正された。精神障害者の社会復帰がはかられ、精神病院から地域社会へと医療の流れを変えようと する動きがある。地域に根ざした医療体制の形成に、今後、法はどのように運用されていくの だろうか。(p.200) <<<<<<<<<<<<<<要約者担当者名・要約日>>>>>>>>>>>>>>>                山田陽子・8月7日