2,評価結果の考察
各実験の評価結果により得られtテストの結果をここで報告する。preはセミナー前、postはセミナー後、トータルはTCE・FAU・RFC・RCTの集計のこととする。それぞれ初級・中級と分けます。
トータル(TCE・FAU・RFC・RCT)の結果
(初級)
Mean |
Minimum |
Maximum |
||
PRE |
12.090909 |
8.000000 |
12.000000 |
|
POST |
12.555555 |
9.000000 |
14.000000 |
(中級)
Mean |
Minimum |
Maximum |
||
PRE |
10.538462 |
8.000000 |
11.000000 |
|
POST |
12.000000 |
7.000000 |
12.000000 |
《PREとPOSTの変化》
(初級)
Mean |
Std error |
t |
丨t丨 |
0.464646 |
0.8721560 |
12.3124863 |
0.0001 |
(中級)
Mean |
Std error |
t |
丨t丨 |
1.461538 |
0.7221351 |
12.1682787 |
0.0001 |
TCE(治療者の体験として取り入れられたクライエントの経験へのかかわり)
(初級)
Mean |
Stv Dev |
Minimum |
Maximum |
|
PRE |
3.090909 |
0.831209 |
2.000000 |
4.000000 |
POST |
3.000000 |
0.707107 |
2.000000 |
4.000000 |
(中級)
Mean |
Stv Devr |
Minimum |
Maximum |
|
PRE |
2.538462 |
0.660225 |
3.000000 |
4.000000 |
POST |
3.000000 |
0.816497 |
2.000000 |
4.000000 |
《PREとPOSTの変化》
(初級)
Mean |
Std error |
t |
丨t丨 |
-0.090909 |
0.26879658 |
2.97953778 |
0.0001 |
(中級)
Mean |
Std error |
t |
丨t丨 |
0.461538 |
0.22238476 |
3.01416615 |
0.0001 |
FAU(クライエントを理解するときの焦点の向け方)
(初級)
Mean |
Std Dev |
Minimum |
Maximum |
|
PRE |
2.727273 |
0.64667 |
2.000000 |
4.000000 |
POST |
3.000000 |
1.000000 |
2.000000 |
5.000000 |
(中級)
Mean |
Std Dev |
Minimum |
Maximum |
|
PRE |
2.461538 |
0.77625 |
2.000000 |
4.000000 |
POST |
3.000000 |
0.816497 |
2.000000 |
4.000000 |
《PREとPOSTの変化》
(初級)
Mean |
Std error |
t |
丨t丨 |
0.272726 |
0.29708269 |
2.98236890 |
0.0001 |
(中級)
Mean |
Std error |
t |
丨t丨 |
0.538461 |
0.24707629 |
3.01220615 |
0.0001 |
RFC(クライエントに対する関心のあり方
(初級)
Mean |
Std Dev |
Minimum |
Maximum |
|
PRE |
3.000000 |
0.447214 |
2.000000 |
4.000000 |
POST |
3.222222 |
0.440959 |
3.000000 |
4.000000 |
(中級)
Mean |
Std Dev |
Minimum |
Maximum |
|
PRE |
2.923077 |
0.27735 |
2.000000 |
3.000000 |
POST |
3.076923 |
0.493548 |
2.000000 |
4.000000 |
《PREとPOSTの変化》
(初級)
Mean |
Std error |
t |
丨t丨 |
0.222222 |
0.13293860 |
3.18992557 |
0.0001 |
(中級)
Mean |
Std error |
t |
丨t丨 |
0.153846 |
0.11050398 |
3.09928230 |
0.0001 |
RCT(クライエントとの関係の持ち方)
(初級)
Mean |
Std Dev |
Minimum |
Maximum |
|
PRE |
3.272727 |
0.786245 |
2.000000 |
4.000000 |
POST |
3.333333 |
0.866025 |
2.000000 |
5.000000 |
(中級)
Mean |
Std Dev |
Minimum |
Maximum |
|
PRE |
2.615385 |
0.869718 |
1.000000 |
4.000000 |
POST |
2.923077 |
0.862316 |
1.000000 |
4.000000 |
《PREとPOSTの変化》
(初級)
Mean |
Std error |
t |
丨t丨 |
0.060606 |
0.28242962 |
3.22254367 |
0.0001 |
(中級)
Mean |
Std error |
t |
丨t丨 |
0.307692 |
0.23309354 |
2.99977746 |
0.0001 |
以上の表を参照に、平均値を見ると初級はPRE(セミナー前)が12.090909点。POST(セミナー後)が12.555555点であり、その差は0.464646点となった。また、中級はPREは10.538462点でPOSTは、12点となり、その差は1.461538点とどちらもPOSTが高いという結果がでた。
さらに細かく平均値を見ていくと初級は
PRE-TCEは3.090909点で、POST-TCEは3点であり、その差は-0.90909点。
PRE-FAUは2.727273点で、POST-FAUは3点であり、その差は0.272726点。
PRE-RFCは3点で、POST-RFCは3.222222点であり、その差は0.222222点。
PRE-RCTは3.272727点で、POST-RCTは3.333333点であり、その差は0.060606点。
また、中級は
PRE-TCEは2.538462点で、POST-TCEは3点であり、その差は0.461538点。
PRE-FAUは2.461538点で、POST-FAUは3点であり、その差は0.538461点。
PRE-RFCは2.923077点で、POST-RFCは3.076923点であり、その差は0.153846点。
PRE-RCTは2.615385点で、POST-RCTは2.923077点であり、その差は0.307692点。
という結果が出た。初級のTCEはPREが高かったものの全体的にはPOSTが高いという結果がでた。また、上記の表より、どの結果を見てもt>丨t丨という結果となっている。
つまり、それぞれの尺度(TCE,FAU,RFC,RCT)のPRE(セミナー前)とPOST(セミナー後)のデータ間には相関があるということになる。これにより、データの有意性が証明されたことになる。つまり、セミナー(コミュニケーションラボを使用したマイクロカウンセリング方式の援助機能の訓練)によって共感についての技法が上達したと証明できる。
初級においては、特に差が見られたのはFAUとRFCであり、これについて記述していく。まずFAUは聞き手が話し手のどのような側面に焦点を持っているか、話し手の言葉の内容だけを理解しようとしているか、気持ちにだるか。さらに、気持ちに直面している話し手の姿勢自体に関わろうとしているか、ということであるが、セミナーで、ビデオで自分自身の姿や質問の仕方などを振り返って、学習しやすかったと思われる。
RFCは聞き手が話し手に対してどのように関心があるか、条件つき、選択的なものであるか、無条件にクライエントの全体に関心を寄せているかどうかを問題とするものであり、初級であったためあまり相手になれていないことが大きな差を生んだと思われる。
中級は、TCEとFAUが特に大きな差を見せた。FAUは上記と同じであるがTCEは、話し手に対しての体験へのかかわりであるが、この項目が大きな差を生んだのは中級になり話し手に対しての気持ちの面にまで入って行けるようになったためであろう。
(2)ビデオ評定について
今回のビデオ評定には、昨年行われた研究についての疑問や失敗を証明したり、克服するといったことから前回とは違う状況での評定を行った。我々は、セミナーに参加せず、評価基準となるビデオも渡されたときには、すでにPRE(セミナー前)かPOST(セミナー後)すらわからないようにランダムの状態であった。これは、セミナーに参加することでそこにいる人に対しての感情や性格などの予備知識が入ってしまうことをさけるためです。また、ビデオに対してはPREとPOSTが解ってしまってはどうしてもPREよりもPOSTの方が上がった評価をしてしまうかもしれないという疑問を解消するためでもある。話す内容にしても初級・中級・PRE・POSTがわからないように同じようなテーマの質問を全てしている。
評価する際には、本年度のセミナービデオを見る前に昨年度のビデオや参考ビデオ等でお互いが一致した評価ができるように練習をしたことと身振り・手振り・発言などに気をくばり、お互いの意見が一致するまで話し合いをしたことが今回の結果につながったと思います。