【2】マイクロカウンセリングについて
(1)マイクロ技法の階層表
個人スタイルと理論の決定 |
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技法の統合(異なる理論における技法の系列下)
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積極技法と方略(指示、論理的帰結、解釈、自己開示、助言、情報提供、説明、教示、フィードバック、積極的要約) |
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焦点のあてかた (文化的に、環境的に、脈絡的に) (クライエントに、問題に、他の人に、私たちに、面接者に) |
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対決と発達的査定 |
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5段階の面接構造(基本的傾聴の連鎖のみを用いての面接の完了及び共感的理解に関するその面接の評価) 面接の5段階 1,ラポート/構造化 2,問題の定義 3,目標の定義 4,選択肢の探索と不一致との対決 5,日常生活への般化 |
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意味の反映 |
基本的かかわり技法 |
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基本的傾聴の連鎖 |
感情の反映 |
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励まし、言い換え、要約 |
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クライエント観察技法 |
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開かれた質問と閉ざされた質問 |
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かかわり行動(文化的、個人的に適した視線の合わせ方、身体言語、声の質、 言語的追跡) |
1,かかわり行動とクライエントを観察する技法は、効果的なコミュニケーションの基礎を形成しているが、これは必ずしも訓練のはじめがふさわしい場所であるというわけではない。
2,かかわり技法(開かれた質問と閉ざされた質問、励まし、言い換え、感情の反映、要約)の基本的傾聴の連鎖は、効果的な面接、マネージメント、ソーシャルワーク、内科医の診察時の面接やその他の状況下でたびたび見出される。
マイクロ技法(
mikroskills)というのは、面接の時のコミュニケーションの技法の単位である。マイクロ技法の階層表(micro skills hierarchy)は、図のように意図的面接法の連続した階段に要約される。まず、一番底辺にある「かかわり行動」が最初のプログラムとなり一つずつうえの段階にあがり、技法の階層表の順上にある「技法の統合」を習熟する。マイクロ技法の階層表を修得すると、多くの異なる状況下でこれらの技法と概念を用いる準備ができたことになる。
1)かかわり行動
かかわり行動には、次の四つの重要な項目が含まれている。
1,視線を合わせること。(ここの文化にあった視線の合わせ方をする。)
2,身体言語に気を配る。(リラックスしたポーズや動作をする。)
3,声の調子(ごく自然な話し方をする。)
4,言語的追跡(カウンセラーの方からは決して話題を飛躍させてはならない。)
2)開かれた質問と閉ざされた質問
1,開かれた質問
(Open Question)はなしての自由な応答を促すような質問で主体的に発言できる。一言では答えられないようなものである。その形態としては、どんな、どのように、何々してくれませんか、どうして、などの質問がある。話し手に話の糸口を与え、話し手を満足できるが応答の自由が高いだけに注意しなければならない。質問があまりにも漠然としてしまって、話し手がなにを話せばいいかわからなくなる場合もある。開かれた質問への応答の難しさを少なくし、聴き手の質問の質問の意図を明確にするためには、開かれた質問の前に適度な挿入
することが望ましい。
2,閉ざされた質問
(Closed Question )話しての応答が限定されていて、「はい」「いいえ」もしくは一語か二語で答えられるような質問を閉ざされた質問という。閉ざされた質問は、聴き手の意図に従って聴き手から情報を引き出そうとするときに用いられる。その形態としては、「……ですか?」「……しますか?」などの質問がある。話し手が応答するのは楽であるが、この種の質問を続けると受け身になり、たずねられたことしか答えなくなりがちである。その上、人間には、アンビバレンスな気持ちを持っているので(相反する二つの感情)を持っているので「はい」「いいえ」で答えさせると無理がある。しかし、もともとあまり主体的でなく、嫌々ながらきたようなクライエントに対しては、閉ざされた質問で答えやすいことをたずね、まず口を開かせることから始める方が面接を進めやすい場合もある。閉ざされた質問は、話し手にとっては答えやすく、短い答えで答えられるものであり、聴き手には必要な情報を手早く収集するのに好都合である。
3)はげまし、いいかえ、要約
1,明確化(最小限度のはげまし、いいかえ)
2,要約
要約の主な目的は、クライエントがその思考を統合するのを援助することである。次に重要なこと面接者が歪曲という過ちを犯さなかったかをチェックするということである。要約が正確で、歪曲がなかったならばそれは、面接を探求の段階から行動へ、問題解決へもたらす助けとなる。
要約は言い換えや感情の反映とにている。しかし大きな違いはクライエントが表現した言葉の全体をカバーすることである。言い換えは、クライエントの発言の最後の二、三章または短い段落を扱う。要約は、クライエントの発言する幾つかの文節や全セッション、または何度かの面接で繰り返し表現された問題を扱う。
4
)感情の反映この技法は、クライエントの話す内容や決定に、ただ関わるというのではなく、むしろ表現される感情に気づき、それに反応することが重要なのである。クライエントの言葉の情動的側面に注意し、それを的確な形で要約することである。それは、矛盾した、複雑な感情にも対応しなければならない。例えば身体と言語が別々のことを物語ることがある。この二重のメッセージと混乱した感情に注意しなくてはならない。
感情には快不快や喜怒哀楽のほか、満足感、焦燥感、絶望感など様々なものがある。それを表にまとめてみた。
幸福 |
悲しみ |
怒り |
恐れ |
混乱 |
強気 |
弱気 |
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強度 |
狂喜する 有頂天になる 歓喜する |
絶望する 憂鬱になる がっくりする |
激怒する 憤激する 憤慨する |
恐れおののく 恐れる おびえる |
茫然自失になる 身動きがとれない 困惑する |
全能感を持つ 自信にあふれる 活力がある |
圧倒される 無力感 傷つきやすくなる |
中度 |
陽気になる 上機嫌になる 気分がよい |
狼狽する 悲観にくれる 残念がる |
いらだつ 欲求不満 やきもきする |
心が騒ぐ 不安になる 懸念する |
支離滅裂になる 混乱する ぶざまな格好になる |
意気揚々 自信満々 得意になる |
自信喪失 孤立無援 不安定になる |
弱度 |
うれしい 満ち足りる まあまあである |
気落ちする 気が重い 気分が優れない |
腹を立てる 頭にくる 癇に障る |
臆病になる 落ち着かない びくびくする |
迷惑に感じる なじめない 優柔不断になる |
確信を持つ 泰然自若 揺るがない |
動揺する ぐらつく 気力がない |
カーカフ
,R.R/国分監修より(1992)より