第3章  評価の要点

本章では、去年のデータをもとにして、I.アイビーの階層表の中の基本的かかわり技法である4つの評価基準をまとめる。

(1)非言語コミュニケーション(かかわり行動)

@ジェスチャーや体の動き

姿勢

自然でリラックスしている、聞いていることがわかるように

…腰の位置、(腰が低い、腰が引けている、腰抜け)、背骨の状態(猫背、斜めに構える、前かがみ、ふんぞり返る)

動作

からだ全体の動き、たちふるまい…動き全体に対する印象(きびきび、ゆったり)

うなずき

話し手にあっているか、…表情、まなざし

ジェスチャー

話し手にあっているか、…話に軽くうなずく、髪に手をやる、笑うときに口に手をやる

顔の表情

的確であるか(ポーカーフェイス、無表情)

視線

相手を見て微笑み視線を保つ、相手を理解しようとする態度を示す、その内容に応じた視線を合わす

  • 方向(上目づかい、目をそらす、直視する、流し目、目を落とす、目を配る)
  • 強弱(射るような視線、穏やかな視線、ぼんやりと焦点にあわない目、目をかける)
  • 関わりについて(目が合う、白い目で見る、目がない、睨みつける、目をかける)

A音質、言語外の音声(笑い声、あくびなど)

声の調子

暖かみの帯びた低い声でゆっくりと、その時の感情にそって変化する

…声の大きさ(自信なく臆病になると小さくなる)

…高さ(緊張で高くなる傾向)、話す速度(興奮すると早口)、明瞭さ(声の大小に左右)

…話の間の取り方、発音するときに息を吐き出して話すか、息を吸いこみながらまたは、止めて話すか

Bその場の空間について

距離の取り方

興味のあるように…座る位置(前の方に座る、目立たないように)

C香りや臭覚作用に関するもの

D皮膚による触感や温度に関するもの

生理的表出

自然であるように…赤らむ、瞼がぴくぴく動く、目が潤む、こめかみの血管が浮き出る、がたがた震える、呼吸(どこで行っているか、速さ、深さ)、どんな汗をかいているか(冷や汗、脂汗)

E着飾りや化粧による自己表現で伝えること

 

(2)質問法

  1. 開かれた質問

  • 面接を始めるとき
  • クライエントに更に詳しく述べてもらうとき
  • クライエントの具体的な行動の事例を引き出すとき
  • どうして、なぜ?という質問を多用しすぎない→クライエントを防衛的にする

  1. 閉ざされた質問

  • 相手が「はい」「いいえ」で答えられるや一語や二語で答えられることを尋ねられるとき

  1. 質問の使い方

  • 閉じられた質問よりも開かれた質問を多用する

→クライエントは自分のペースではなすことが出来る

  • 同時に複数の質問を連発しない

(3)明確化(最小限度の励ましと言い換え)

  1. 瞬時的な発声

  • 「ええ?」「そう?」「それで?」「それから?」
  • 一語または二語の繰り返し
  • 「もっと続けて下さい」
  • 「うむむ…」「うん」「はい」
  • クライエントが述べた文章の最後の数語をそっくり返す

  1. 沈黙(隠れた応答時間)の利用

  • 応答を始めるときに聞き手が数秒間待つこと→なるべく話し手に話させる

  1. 言い換え

  • クライエントの名前および代名詞としての「きみ」「あなた」
  • クライエントの最も重要な語句
  • クライエントの言及した言葉の本質を捉えて、凝縮し明確にしたカウンセラーの発言(話し手の言いたいことをキャッチしてそのポイントを繰り返す)…要約

  1. 意識の面積を拡大する

  • うまく意識化、言語化できないクライエントの状況や心境を的確に察知
  • 解釈、指示、歪曲に陥らない

(4)感情の反映

  • 感情は大切であると言う認識から出た言葉を展開する(肯定的情動に持ち込むこと)

→「あなたは…と感じているようだが」、「あなたは…と感じているように聞こえますが」

  • 感情を指摘し、混乱したり、矛盾している感情に特に注意する。二重のメッセージに注意するが身体と言語の不一致に反映しないように
  • 言い換えを加えてないように触れる