著者名:Felix P.Biestek,S.J 書籍名:THE CASEWORK RELATIONASHIP 年:1957 訳者名:尾崎 新 福田 俊子 原田 和幸 書籍名:「ケースワークの原則(新訳版) −援助関係を形成する方法」 年:1997 第3刷 援助関係は、「ケースワークの魂(soul)」(212)であり、援助過程に生命力をあたえ、人 間を育む「活力(spirit)」(212)でもある。 すべての人間は、身体的、情緒的、知的、社会的、精神的な基本的ニーズをもっているが、 福祉機関に援助をもとめるクライエントは、情緒的・社会的ニーズを強くもっていると考 えられ、「クライエントを個人として考える」「クライエントの感情表現を大切にする」 「援助者は自分の感情を自覚して吟味する」「受止める」「クライエントを一方的に非難し ない」「クライエントの自己決定を促して尊重する」「秘密を保持して信頼感を醸成する」 (215、216)という援助関係を形成するときの7原則を論じた。 また、ケースワーカーはクライエントとの相互関係を意識してこそ、感情と態度の伴うク ライエントとの力動的な相互作用をつくりだすことができる。そこでは、クライエントか らケースワーカーへ、ケースワーカーからクライエントへ、また再びケースワーカーから クライエントへという3つの方向が連結しているが、7原則はそれぞれの方向を内包する。 さらに、ケースワーカーの専門家としての理想は、現実をそのまま捉えられる現実主義者 (216)であることと、見通しの目をもち、クライエントの尊厳や価値を具体的に見出せ る理想主義者(217)であることでもある。