<<雑誌論文カード>> 著者名:牧野田 恵美子 論文名:「大学における社会福祉実習に問われているもの」 雑誌名:『ソーシャルワーク研究』 巻:Vol.15 号:No.1 ページ:7〜10    年:1989 <大学側から> 社会福祉の知識・価値・技術の3つを均衡にとれている専門家の養成が望まれている。 社会福祉実習は、大学での理論の学習では得られない体験を通じ、実践者を養成するた めの重要な教科である。しかし、福祉実践のための理論の構築も実習教育も不十分とい える。実習生が日常を少なからず乱し、利用者へのサービスを低下させたり、事故を起 こすなど、日常業務だけでも十分忙しい実習指導員の心労はかなりのものである。実習 を受け入れてくれる理由は、後継者として良い実践教育を浮け、専門性をもって業務に あたることを願っているからなのだ。実習前・中・後の教育の在り方と実習指導の充実 が問われている。 <大学における実習教育> @ 社会福祉の価値に対する教育 対人援助には人格や感性が問われる。今まで余裕のもてない競争社会の中にいた、まだ まだ人間交流も不十分で未熟といえる学生は、実習前人間の尊厳や倫理について教育が 必要である。自己を見つめ洞察し、自己覚知もできてほしい。 A 理論教育 理論学習だけでなく、現場の専門家の講義や施設見学など現場を理解できる教育が必要。 B 技術指導について 大学での技術教育は、より基礎的なことを学び、理論での技術論を実際にどのように実 践できるのかをその基礎を習得することだ。実際には経験せずに学こともあるので、限 界は否めない。実習後大学でのスーパービジョンによって技術を向上させることになる。 <大学に期待されること> @ 実習の目的、動機の明確化…実習中に変わることも柔軟に対処できることが望まれる。 A 自己の実習課題と目標をもって実習にのぞむ B 実習に対して主体的・意欲的に学ぶ学生の養成…資格のためだけでは許可しない厳し さも必要。 C 施設のケアワークの実習に対する準備…身体を動かし、気働きのある学生を教育。 D 社会人としての学生の立場の徹底 実習中は社会人と同様であり、常識が問われることも多い。 私学では、小人数で丁寧な指導やスーパービジョンができる教員は不十分である。 施設と大学が協力関係を深めることが必要で、現任訓練などで大学も施設に協力しては どうか。