著者名:山口 尚子 論文名:「実習教育のあり方−その展開過程をめぐって−」 雑誌名:『ソーシャルワーク研究』 巻:Vol.12 号:No.1 ページ:66〜71 年:1986 <1 社会福祉教育における実習の位置づけ> 実習がカリキュラムの中にある以上、社会福祉教育の目標に根差して扱われなくてはな らない。社会福祉教育の中心的課題は、専門家としてのソーシャルワーカーの養成であ るからこそ、実習が専門家養成に不可欠なものになっているのだ。 ・大学で学べること @ 社会科学の知識習得、その認識能力を育てる理論学習をうける。 A 処遇についての専門技術理論 B 社会福祉の理論・哲学 <2 社会福祉実習の展開過程>…P68に展開過程の図式あり 1:動機づけ(導入)の段階 @ カリキュラムの目的、位置づけの明確化 A 教材準備 B 学生相談への対応 C ボランティア活動の情報提供 2:実習準備段階 @ 実習履修オリエンテーションの実施 A 実習先の開拓と選定…積極的な援助活動を行い、実習体制が機関全体として整い、実 習を理解があり、適した実習指導者がいること。 B 学生への個別指導と全体像の把握 C 希望実習先の選定・決定 D 学生相談への対応 3: 実習前段階(事前教育) @ 事前学修の指導と教材準備、実習資料の作成 A 実習プログラム、事前学習などに関する実習先との打ち合わせ B 学生の事前訪問の実施…目的を学生・実習先に明確にし、実習展開の契機とする必要 ある。 C 実習オリエンテーションの徹底 D 実習記録の説明 4: 実習時段階(訪問指導) @ 実習状況の把握 A 学生と実習先との信頼関係の確立 B 学生の指導 C 大学と実習先の協力体制の確認と役割の遂行 5: 実習後段階(事後教育) @ 実習成果を深めるための個別学習とグループ学習の実施 A 多角的総合的な実習効果 B 大学と実習先(実習指導担当者)による実習検討会の実施 C 実習先との継続的かつ緊密な協力関係の維持・発展 <3 実習教育の課題> 1:実習指導体制の整備 @ 個別指導の必要性 A 実習担当教員の増員 B 実習指導内容の検討 2:大学と実習先との関係の強化 @ 個別的対応の必要性 A 日常レベルでの実習先との交流 B 実習指導担当者の確保と養成 C 実習教育についての相互理解と役割分担