<<雑誌論文カード>> 著者名:津崎 哲雄 論文名:「ソーシャルワークの実習教育をめぐる基本問題」 雑誌名:『ソーシャルワーク研究』 巻:Vol.15 号:No.1 ページ:4〜10    年:1989 <4年生大学の社会福祉教育における現場実習について> 1:福祉一般(理論)教育かソーシャルワーク教育か 学生が一般企業に就職することが全く珍しくないという現状からすれば、学生が受けて きた社会福祉教育は、専門職養成としてのソーシャルワーク教育ではなかったことは否 めない。また、私学は社会福祉教育を経営上の主要戦略にすることにうまみを感じつつ あり、国家資格制度によってさらに拍車がかけられるであろう。 専門的知識・技術の伝達は、教科現場でのスーパービジョンを中心に、教科学習でその 準備、補足、強化をしながら、実践と理論の関連付けられる。 2:ソーシャルワーク教育における現場実習の構成要素(筆者の構想) <実習生> 他職種を志望する学生には実習に行かせない。なるつもりのないものを現場実習させる 専門職養成校・現場機関は、社会福祉分野だけである。 <実習機関> ソーシャルワークを実践し、スーパービジョンが行える実習指導教員となれる職員がい ること。この判断は協議会が独立して判断する。実習指導教員は、勤務時間の一部を免 除され、実習指導を業務として行い、減額の分は学生を送った大学が非常勤教員として 給与を払う。ただし、ソーシャルワーカーとして能力があるからといって、実習指導が できるとはかぎらない。スーパービジョンのための研修が必要である。実習指導教員の 適切な位置付け、役割や機能を明確にすることが必要。 <大学のソーシャルワーク教員> 実習指導教員が転身した、実務経験の豊富なものがよい。学生が現場で何を経験してい るのか十分に理解する必要がある。 <現場実習の方式><実習期間> <実習生担当ケース> 社会福祉現場実習は機関・施設機能の実際を知ることにとどまっていたところがあるが、 それが専門職を希望していない学生を含めた現場実習であることを示している。ソーシ ャルワーク教育の実習は、実務経験が中心となるべきで、ケースを通じたスーパービジ ョンでなければ有効ではない。 <実習成績評価> 3:現場実習の目標 今日、社会福祉教育が専門職教育たりえなかったのは、ソーシャルワーカーの理念型を 明確にしなかったからだ。ワーカーの養成を目的とするのかによって、ソーシャルワー ク教育の目標が決まる。社会福祉学部学科が、専門職を養成するコースとすること自体 が適切なのだろうか。なぜソーシャルワーク教育が必要でないかを検討するほうが、社 会福祉の本質に問えるのではないだろうか。