<<雑誌論文カード>> 著者名:大谷 昭(兵庫医科大学 医療社会福祉部) 論文名:「MSW実習の現状と課題」 雑誌名:『医療と福祉』 巻:No.54 号:Vol.23 ページ:59〜61 年:1989 <MSWから実習の問題点と今後の課題を考察> 大学での社会福祉教育では、教養としての社会福祉の側面と実践家の養成としての社会 福祉の側面とに分かれる。実習の位置づけは、後者の側面に価値をどれだけおいてるか の指標となるが、実際は現場と大学の連携も不十分なことも多く、前者が重きがおかれ ている。また、「社会福祉士・介護福祉士」の制定で、医療機関における社会福祉実習は 複雑な局面を迎えた。 <兵庫医科大学病院における実習> 1:実習プログラムについて 2:実習に関しての問題点 ・ 実習の意味ずけ…医療機関での他職種の実習は、その職種になることが前提だが、 社会福祉の実習生は違う。医療に興味があるとか、面白そうだ とかMSWになる気がなくても配属される。これは、他職種の 常識には通用しにくい。 MSWになるとは限らない学生に、講義や見学などを業務に忙 しい他職種に依頼しにくし、リスクの高い面接を背負わすわけ にはいかない。 ・ 実習期間…2週間ほどでは動機ずけや問題意識をもつ契機にしかならず、MSWの 重要な業務である面接もできない期間では不十分。 @現場は実践家の養成を目的としていても、大学の教育者が同じように考えていると は限らない。 <今後の課題> ・社会福祉実習の指定施設から保健医療領域が外されていることは、社会福祉の領域に 医療が含まれないということにも通じる。全くの不合理である。 ・実習はMSW養成が目的であり、卒後教育、現任者教育を含め養成システムの一環と して考えるべきである。 ・現場のワーカは主体的に実習や養成に取り組むべきである。日常の業務があるので、 依頼に応じての受け身であった。協会でも集団として体系だてたプログラムづくりに 取り組めていない。 ・MSWの実習生が減少すれば、社会福祉系の大学と医療の現場が離れてしまうことに もなるし、医療におけるソーシャルワークの確立のために社会福祉系の卒業生が増え ることは社会的に認められることつながる。