<<雑誌論文カード>> 著者名:川廷 宗之 論文名:「ソーシャルワーク教育の現状と課題」 雑誌名:『ソーシャルワーク研究』 巻:Vol.24 号:No.2 ページ:4〜14    年:1998 <大学側からみて> <ソーシャルワーク教育の論点> 社会福祉教育の内容は「@専門職員養成教育、A専門的な教養としての福祉教育、B生 活の智恵としての福祉教育、Cクライエント援助方法としての社会福祉教育」(4)であ るが、ソーシャルワーク教育は@をさす。 1:ソーシャルワーク教育の内容課題 @ 現実のソーシャルワーク援助の発展をどう扱うか A 現実の臨床実践とその言語化の課題 B 領域論における援助方法との関係 C 外国の理論枠組みや援助モデルの扱い方 D 基礎科学や隣接科学や援助技術の扱い方 E コアとしての内容と各資格制度への対応 F 社会福祉などの国家試験対策 2:ソーシャルワーク教育の教授法について @ 体験的実感と、専門用語との一体化 A 教育課程の全体構造への配慮…講義・演習・実習が相互に循環できる構造が必要。 B 学生の選択・自己決定と、段階的履修の必要性 C 達成課題の設定とその達成評価の方法 D 一般的な教授方法としての課題 E (学習に馴染めない学生を含む)個別学生への援助技術 F 「教育」援助技術と「福祉」援助技術…教授方法が、教えるソーシャルワーク援 助の原則とずれるてはならない。教育自体、学生への創造的な活動としての援助 である。そのまま伝承されるのである。 3:ソーシャルワーク教育の教授者の教授観の視点から @ 教授の視点−知識伝承重視か価値・技術重視か−…本来は相互に補強しあうべき A 伝わってしまう教授者の「価値」観 B 言語概念なしの「価値」や「技術」はありえない C 日常的な臨床実践における検証の重要性…ソーシャルワーク教育に関わる教授者 が臨床実践にどれだけかかわっているのか D ソーシャルワーク教育の福祉教育における独自性 <教育課程にみるソーシャルワーク教育の現状> 日本社会事業学校連盟に加入する59の大学のうち、37校について調査 1:ソーシャルワーク関連講義科目の開校状況とその位置付け(8〜9) @ 検討対象科目 A 開講単位数の現状 B 開講配当学年の現状 C 必修と選択の現状 D 関連科目の開講状況の現状 E 開講科目全体の単位数の現状 2:ソーシャルワーク関連演習・実習科目の開講状況とその位置付け @ ソーシャルワーク演習開講の現状 A ソーシャルワーク実習開講の現状 3:ソーシャルワーク関連科目の講義・演習・実習科目間の構造 @ ソーシャルワーク関連科目間の構造 A ソーシャルワーク関連科目の教育課程全体に占める位置 <授業概要(シラバス)にみるソーシャルワーク教育の現状> 1:シラバス作成の現状 @ 詳細化するシラバスの内容や記述 A ソーシャルワーク関連科目のシラバス記述の現状 2:シラバス等にみる「社会福祉援助技術総論」の教育内容 @ 授業の内容科目 A 標準的に取り上げられている内容 B 各論的な内容や、発展的な内容 C 総体的な傾向と、特色ある内容 <残された課題> 社会福祉士の養成教育が始まって10年がたち、国家試験の合格が優先される中で、大学 の教育内容が共通化されてきている。 学生に履修段階で十分な説明がされなければ、国家資格科目だけを中心に学ぶようにな るのではないだろうか。早くから個別に履修指導を含めた学習支援体制が必要である。