著者名:佐藤 俊一 章のタイトル名:第1章 「ケースワークを学ぶために」 第3節「臨床的視点からのケースワーク」 書籍名:『ソーシャル・ケースワーク』 対人援助の臨床福祉学 共編者名:足立 叡 佐藤俊一 平岡 蕃 出版社名:中央法規 ページ:18〜23 年:1996 専門的な知識や技術が、日常生活において、いつでもどこでも活用されるようにするため に、援助関係では「相手とともにいる」(18)という基本的態度を「方法としての臨床」(18) にしなくてはならない。そして、この基本的態度を、教育の場でも日常性活においても忘 れずに実践していくことが、専門性を開かれたものとするのである。 学ぶということを知識の蓄積だけに終わらせないためにも、どのような人間関係において でも、「相手とともにいる」態度で学ぶことが必要だ。そうすることにより、自分を問い、 自分を知り、学んだことを自分の解体・変革へとつながぐことができるのである。自分を 完全に知ることはできなくても、知ろうとする過程において、臨床的態度をもつことが、 自分を知っていくことになるのだ。 ケースワークは、人間の社会的機能を高める一つの方法にすぎず、他の方法とも開かれて た関係にある。 方法としてのケースワークを学ぶ前提は、(22,23) @ ケースワークのケースとは、対象について言っているのではなく、どのような事例であ っても、個別の方法をとるということを意味する。 A ワークとは、一方的な援助者の作業によって壊れたものを元に戻すという意味ではない。 B ケースワークは、正しくはソーシャル・ケースワークと表現され、社会的とは、人間の 問題を社会と人間の関係から見ていこうとする姿勢である。 C ケースワークを学び実践していくには、基本的態度として相手ともにいる姿勢が必要で ある。援助者として、常に自分の態度を他者に開いていくことが大切である。 D 援助の際、援助者は普段の自分と別人になることは不可能であり、逆に普段の自分を活 用していけばいいのである。よって、自分のことをどれだけわかっているか、わかろう とするかが、援助関係を形成する上で重要となる。(7/13)